日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS22_30PM2] 大気化学

2014年4月30日(水) 16:15 〜 18:00 511 (5F)

コンビーナ:*竹川 暢之(東京大学先端科学技術研究センター)、澤 庸介(気象研究所地球化学研究部)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:松井 仁志(海洋研究開発機構)

17:00 〜 17:15

[AAS22-04] 日中韓露MAX-DOAS長期観測網によるNO2計測(2007-2012):OMI衛星データの系統的検証

*金谷 有剛1入江 仁士2高島 久洋3岩渕 弘信4秋元 肇5須藤 健悟6Gu Myojeong7Chong Jihyo7Kim Young-Joon7Lee Hanlim7Li Ang8Si Fuqi8Xu Jin8Xie Pinhua8Liu Wenqing8Dzhola Anatoly9Postylyakov Oleg9Ivanov Victor10Grechko Evgeny9Terpugova Svetlana11Panchenko Mikhail11 (1.海洋研究開発機構、2.千葉大学、3.福岡大学、4.東北大学、5.アジア大気汚染研究センター、6.名古屋大学、7.光州科学技術院、8.中国科学院安徽光学精密機械研究所、9.ロシア科学アカデミー大気物理研究所、10.ベラルーシ国立大学、11.ロシア科学アカデミーシベリア支部大気光学研究所)

キーワード:二酸化窒素, MAX-DOAS, 衛星観測検証, 時間変動

人間活動の活発化により、中国上空では大気中窒素酸化物濃度が過去15年に3倍にも増加したと考えられており、発生源の把握や大気中での反応、風下にあたるアジア太平洋地域でのオゾン生成による大気汚染の増加や、酸化生成物である硝酸の沈着による富栄養化影響などを明らかにすることが重要である。我々は、標準化されたMAX-DOAS (複数仰角・差分吸収分光)装置を日本・中国・韓国・ロシアの7地点に設置して、2007年以降長期観測を実施し、80000を超える対流圏NO2カラム濃度解析値を得てきた。この大きなデータセットを解析することで、日~季節スケールの時間変動を明らかにするとともに、衛星センサOMIからの広域観測値の検証を行った。OMI衛星データの2つの解析値(NASAによるもの(ver.2.1)、およびオランダ王立気象研究所のDOMINOver.2.0によるもの)は、MAX-DOASでの値と高い正相関を示したが、ともに30-50%程度の過小評価を示した。その差はNO2が地上付近に偏在する場合や、エアロゾル光学的厚さが大きい場合に顕著となることがわかり、衛星観測データ解析を改善するための今後の指針が得られた。顕著なバイアスを除けば、衛星データはMAX-DOAS観測と非常に一致度の高い季節性を示した。また、MAX-DOASデータを用いた全球大気化学輸送モデルMIROC-ESM-CHEMの評価も行った。沖縄辺戸岬や福江島では、太平洋からの清浄な海洋性大気の影響が卓越する夏季にはモデルとの一致度が高いことが示された。