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[AAS22-04] 日中韓露MAX-DOAS長期観測網によるNO2計測(2007-2012):OMI衛星データの系統的検証
キーワード:二酸化窒素, MAX-DOAS, 衛星観測検証, 時間変動
人間活動の活発化により、中国上空では大気中窒素酸化物濃度が過去15年に3倍にも増加したと考えられており、発生源の把握や大気中での反応、風下にあたるアジア太平洋地域でのオゾン生成による大気汚染の増加や、酸化生成物である硝酸の沈着による富栄養化影響などを明らかにすることが重要である。我々は、標準化されたMAX-DOAS (複数仰角・差分吸収分光)装置を日本・中国・韓国・ロシアの7地点に設置して、2007年以降長期観測を実施し、80000を超える対流圏NO2カラム濃度解析値を得てきた。この大きなデータセットを解析することで、日~季節スケールの時間変動を明らかにするとともに、衛星センサOMIからの広域観測値の検証を行った。OMI衛星データの2つの解析値(NASAによるもの(ver.2.1)、およびオランダ王立気象研究所のDOMINOver.2.0によるもの)は、MAX-DOASでの値と高い正相関を示したが、ともに30-50%程度の過小評価を示した。その差はNO2が地上付近に偏在する場合や、エアロゾル光学的厚さが大きい場合に顕著となることがわかり、衛星観測データ解析を改善するための今後の指針が得られた。顕著なバイアスを除けば、衛星データはMAX-DOAS観測と非常に一致度の高い季節性を示した。また、MAX-DOASデータを用いた全球大気化学輸送モデルMIROC-ESM-CHEMの評価も行った。沖縄辺戸岬や福江島では、太平洋からの清浄な海洋性大気の影響が卓越する夏季にはモデルとの一致度が高いことが示された。