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[AAS22-P07] ブラックカーボン含有粒子の吸湿性を測定する新手法の開発
キーワード:ブラックカーボン, 吸湿性
化石燃料やバイオマスの燃焼により放出されたブラックカーボン(BC)粒子は、大気中を輸送される過程で、ガス成分の凝縮や他のエアロゾルとの凝集により被覆を持つようになる。BCは元来疎水性であるため、BC含有粒子の吸湿性は被覆成分の組成と被覆量により支配される。実大気におけるBC含有粒子の吸湿性の測定は、BC含有粒子の雲凝結核特性や光学特性を知る上で重要であるが、先行研究が極めて限られている(McMeeking et al. 2011; Liu et al. 2013)。そこで本研究では、既存のBC分析装置Single Particle Soot Photometer (SP2) を改造し、相対湿度制御機能を追加したhumidified-SP2(hSP2)の開発を行った。hSP2は、レーザー内に導入された個々のBC含有粒子の発する白熱光と散乱光を検出し、任意の相対湿度下におけるBC質量と被覆量をオンラインで測定する。エアロゾル質量分級装置(APM)や標準のSP2と、新たに開発したhSP2を組み合わせることにより、BC含有粒子の吸湿成長率(乾燥粒径に対する吸湿後の粒径の比)や吸湿パラメータκをBC含有量の関数として高時間分解能で測定することができる。
hSP2の評価を行うため、実験室内で発生させたBCと硫酸アンモニウムの内部混合粒子をAPMにより乾燥質量7.4 fg(体積等価粒径約200 nm)で分級し、分級した粒子をhSP2により相対湿度60-90%の範囲で測定した。このAPMとhSP2を直列に接続する手法(APM-hSP2法)では、APMにより乾燥粒子の質量、hSP2によりBC質量と吸湿成長後の被覆量、また乾燥粒子質量とBC質量の差から乾燥時の被覆量が求まる。hSP2のデータ解析には、BC含有粒子の形態としてコアシェルモデルを仮定し、被覆成分の屈折率が吸湿成長により減少することを考慮したアルゴリズムを用いた。APM-hSP2法による吸湿成長率の測定値はκ-Köhler理論による理論値と測定誤差内で一致し、hSP2を用いた新しい測定法が実大気観測に適用可能であることが確認された。
hSP2の評価を行うため、実験室内で発生させたBCと硫酸アンモニウムの内部混合粒子をAPMにより乾燥質量7.4 fg(体積等価粒径約200 nm)で分級し、分級した粒子をhSP2により相対湿度60-90%の範囲で測定した。このAPMとhSP2を直列に接続する手法(APM-hSP2法)では、APMにより乾燥粒子の質量、hSP2によりBC質量と吸湿成長後の被覆量、また乾燥粒子質量とBC質量の差から乾燥時の被覆量が求まる。hSP2のデータ解析には、BC含有粒子の形態としてコアシェルモデルを仮定し、被覆成分の屈折率が吸湿成長により減少することを考慮したアルゴリズムを用いた。APM-hSP2法による吸湿成長率の測定値はκ-Köhler理論による理論値と測定誤差内で一致し、hSP2を用いた新しい測定法が実大気観測に適用可能であることが確認された。