日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS22_1PM2] 大気化学

2014年5月1日(木) 16:15 〜 18:00 511 (5F)

コンビーナ:*竹川 暢之(東京大学先端科学技術研究センター)、澤 庸介(気象研究所地球化学研究部)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:竹川 暢之(東京大学先端科学技術研究センター)

16:15 〜 16:30

[AAS22-P21_PG] 2013年の千葉とつくばにおけるMAX-DOAS法によるホルムアルデヒドとグリオキサール濃度変動の観測

ポスター講演3分口頭発表枠

*陳 誠1倪 聞涛1入江 仁士1 (1.千葉大学)

キーワード:ホルムアルデヒド, グリオキサール, MAX-DOAS, 日変化, 季節変化

BVOC(Biogenic Volatile Organic Compounds)は常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物のうち植物から放出されるものの総称のことである。BVOCの大気中の反応は、大気の酸化能を左右するOHラジカルの収支に大きな影響を及ぼす。また、BVOCの反応で生成するオゾンは、人の健康や植物に悪影響を及ぼすほか、強力な温室効果気体としてもはたらく。更に、BVOCの酸化反応の生成物の一部はエアロゾルを形成し、放射収支や雲の形成に関与する。この様に、BVOCは人間や植物を取り巻く大気の質や気候と深く関わっている。グリオキサールとホルムアルデヒドはBVOCの重要な指標の一つであるが、観測データは限られている。本研究ではMAX-DOAS法によって観測された、グリオキサールとホルムアルデヒド濃度を日変動や季節変動の観点から詳しく解析し、その変動要因を議論する。
本研究で使用したMAX-DOAS(Multi-Axis Differential Optical Absorption Spectroscopy)法は、複数の仰角(本研究の仰角は2度、4度、8度、15度、30度と70度)について紫外可視域の太陽散乱光のスペクトルを測定する方法である。我々は千葉大学(北緯35.62度、東経140.10度)およびつくばの気象研究所(北緯36.06度、東経140.13度)において2013年に通年観測を実施した。グリオキサールとホルムアルデヒド濃度の情報はそれぞれ、436.0-457.0nmと336.5-359.0nmの波長域をDOAS法を用いて解析して得た。インバージョン法と放射伝達モデルを利用して、地表付近(高度0-1km)の濃度を導出した。
2013年の一年間、千葉で観測されたグリオキサール濃度のデータを図1に示す。季節変化と日変化を調べるために、各月において1時間毎の平均値を計算した。グリオキサールの濃度が日中に高く、また、夏季に高いという明瞭な日変化・季節変化が起きていることが分かった。夏季の正午には、0.105ppbv以上まで増大した。同様な日変化・季節変換はつくばでも観測された。本発表ではホルムアルデヒドのデータも合わせて解析し、2013年の一年間の千葉とつくばで観測したのデータを整理し、一年間の変化原因を議論する。