日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS22_1PO1] 大気化学

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*竹川 暢之(東京大学先端科学技術研究センター)、澤 庸介(気象研究所地球化学研究部)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)

18:15 〜 19:30

[AAS22-P25] 中国華北平原におけるCOと火災件数の関係

*茅場 聡子1林田 佐智子1小野 朗子1 (1.奈良女子大学)

COは化学過程においてメタンや対流圏オゾン濃度に関与することから、重要な間接的温室効果ガスと見なされており、その時空間変動を把握することは重要である。
中国華北平原で6月初旬に行われる冬小麦収穫後の残渣焼却は大気中CO濃度に大きな影響を及ぼしていることが指摘されており[Wang et al., JGR, 2002]、更に2006年の中国泰山における現地観測とモデルシュミレーションによって確認されている[Kanaya et al., ACP, 2013及びACP特集号参照]。また、近年の急速な経済成長に伴い、工業活動によるCOの放出が急増している[Ohara et al., ACP,2007]。この様に、火災(バイオマスバーニング)と火災以外のソースが混在するこの地域において、火災発生地域とCO濃度の関係を調べることは、ソースの違いを把握することに繋がると考えられる。そこで本研究では、衛星観測データを用いて中国華北平原における火災発生地域とCO濃度の関係を調べた。
解析したデータは以下の通りである。CO濃度データはTerra衛星搭載のMOPITTセンサ(Ver5)による混合比プロダクト、火災件数データはTerra, Aqua衛星搭載のMODISセンサによる熱異常値データ(Thermal Anomalies & Fire)に火災検知アルゴリズム[Giglio et al., RSE, 2003]を適用して作成されたアジア域森林火災プロダクト[Takeuchi and Yasuoka,2006]である。解析期間は2001〜2012年と定めた。
火災件数とCO濃度の時空間分布を調べたところ、毎年6月には火災件数の急増に伴うCO濃度の上昇が見られ、上記で述べた畑作の残渣焼却が大気中CO濃度へ与える影響が衛星観測からも捉えられていた。一方で秋から冬にかけては、火災はほぼ検知されていないにも関わらずCO濃度は増加する。これは工業活動や暖房の影響である可能性が高い。更に、6月と秋から冬の時期ではCO濃度の年々変動の様相は異なっていた。

本研究は、文部科学省のGreen Network of Excellence, Enviromental Information (GRENE-ei)事業の支援を受けて実施しています。