日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS23_28PM1] 稠密観測によるマイクロ・スケール大気現象研究の新展開

2014年4月28日(月) 14:15 〜 16:05 424 (4F)

コンビーナ:*古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、坪谷 寿一(NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部)、座長:東 邦昭(京都大学生存圏研究所)

14:15 〜 14:30

[AAS23-10] 集中豪雨の特徴に関する統計解析

*津口 裕茂1加藤 輝之1 (1.気象研究所)

キーワード:集中豪雨, 統計解析

本研究では,日本域での集中豪雨の一般的な特徴を理解するために,集中豪雨に関するさまざまな統計解析に取り組んでいる.1995年から2009年の暖候期(4月~11月)を対象として,気象庁作成の解析雨量を用いて,日本で発生した集中豪雨事例を客観的に抽出した.その結果,合計で386事例が抽出された.抽出された集中豪雨事例は,7・8・9月の3か月に全体の75 % 以上が発生しており,九州・四国・近畿・東海地方の太平洋側沿岸部で発生数が多いという特徴がみられた.それぞれの集中豪雨をもたらした総観規模擾乱の分類を行ったところ,台風・熱低本体が全体の32.4 % を占めてもっとも多く,次いで,停滞前線が21.2 %,台風・熱低の遠隔が17.9 %,低気圧が14.2 % であった.また,集中豪雨をもたらす降水系の形状の分類を行ったところ,“線状”によるものが全体の43.5 % を占めていたことがわかった.気象庁55年長期再解析データ(JRA-55)を用いて,集中豪雨(> 130 mm/3hr)の環境場についての統計解析を行った.並の降水(10-30 mm/3hr)の発生時と比較することで,集中豪雨の発生時の環境場の特徴を調べた.梅雨末期にあたる7月の九州地方を対象に解析を行ったところ,九州地方付近の大気下層の相当温位や水蒸気フラックス量は集中豪雨発生時の方が明らかに大きくなっていた.また,九州地方付近の大気の安定度を比較したところ,集中豪雨発生時の方がより不安定になっていた.さらに,集中豪雨と並の降水を区別するためには,単独の要素だけを利用するのではなく,大気下層の水蒸気フラックス量と大気の安定度の2つの要素を組み合わせることが有効であることがわかった.