日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC31_29AM2] 雪氷学

2014年4月29日(火) 11:00 〜 12:45 312 (3F)

コンビーナ:*鈴木 啓助(信州大学理学部物質循環学科)、兒玉 裕二(国立極地研究所)、座長:兒玉 裕二(国立極地研究所)

12:30 〜 12:45

[ACC31-P03_PG] モンコ?ル・アルタイ地域の氷河流出河川中の氷河融解水の割合

ポスター講演3分口頭発表枠

*紺屋 恵子1門田 勤1Davaa Gombo2Pugvdagwa Kalzan2 (1.海洋研究開発機構、2.モンゴル気象水文環境研究所)

キーワード:氷河, 氷河流出河川, 温暖化, 水資源, モンゴル, 気候変動

1.背景
 氷河からの流出河川に関する研究は数多く行われている. モンゴル・アルタイ地域では、降水から十分な生活用水をとることが難しいため、氷河からの水が重要な水資源であると考えられている. モンゴルの貯留水のうち10%は氷河に蓄えられているという報告もある (Davaa et al., 2007)。また、モンゴル・アルタイ地域の氷河からの流出河川は、氷河の融解水、季節的な降水(雨)、融雪水で構成され、モンゴル西部の河川水では、約50%が雪、氷、氷河起源である (Davaa et al., 1999)。
本研究では、①モンゴル・アルタイ地域の氷河の融解水、降水・融雪水の量と流出河川水の化学的性質を明らかにすること、②今後の温暖化で変化しうる氷河から獲得可能な水量を予測することを目的とする。
2.方法
 氷河下流の河川の2か所にて、流量、水温,電気伝導度(EC), pH,河川水δD, δ18Oの観測を、氷河融解期初期、中期、末期の3期間、1日3回実施した。氷河融解水の河川水への寄与率を、A)流量とECから、B)氷河融解量からの二つの方法で見積もった。
3.結果
 いずれの方法でも、これまでよりもやや多い20~50%の寄与率が計算された。方法Bにて、今後の温暖化に対する融解量の変化から、河川流量変化を計算した。近い将来(数十年後)は、流量の増加が見込まれ、遠い将来(約100年後)には流量が減少し始めると考えられる。ただし河川水は氷河の融解のみならず、積雪量の変化も受けるため、融雪水の変化も考慮する必要がある。