日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC32_29PM1] 氷床・氷河コアと古環境変動

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 419 (4F)

コンビーナ:*川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、小端 拓郎(国立極地研究所)、座長:竹内 望(千葉大学)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、小端 拓郎(国立極地研究所)

15:15 〜 15:30

[ACC32-05] MIROC および MIROC-ESM を用いた過去1000年シミュレーションにおける北極域雪氷圏の変動

*末吉 哲雄1大垣内 るみ1吉森 正和2羽島 知洋1阿部 学3大石 龍太3岡島 秀樹1齋藤 冬樹1渡邉 真吾1河宮 未知生1阿部 彩子2 (1.独立行政法人海洋研究開発機構、2.東京大学大気海洋研究所、3.国立極地研究所)

キーワード:古気候, 気候モデル, 過去1000年, 雪氷圏, 気候変動

1.はじめに本研究では、大気海洋結合モデル MIROC および地球システム統合モデル MIROC-ESM を用いた過去 1000 年再現実験(Last Millennium Experiment:以後 LM と略記)の結果を解析し、モデルで再現される雪氷圏の応答を解析する。この実験で扱う西暦 850 年以降の期間には、ヨーロッパ地域が中世にやや温暖だったとされる「中世温暖期」や、ほぼ全地球的に寒冷な気候が続いたとされる「小氷期」が含まれ、積雪・降雪などを中心にどのようなシ グナルが見られるかに注目する.2.モデルと境界条件2.1 モデルの構成本研究で用いるモデルは、東京大学・海洋研究開発機構・国立環境研究所を中心に継続的に開発が行われている大気海洋結合大循環モデルMIROCを地球システムモデル化した、MIROC-ESM) である。水平解像度T42(2.8o格子)・80層の大気モデルと中解像度(0.5-1o×1.4o)の海洋モデルをベースに、6層14mの1次元陸面モデルMATSIRO、陸上動態植生モデルSEIB-DGVM、エアロゾル輸送モデルSPRINTARS、及び海洋生態系モデルを統合したものである。陸面モデルでは、雪面・氷床上での融解水によるアルベド低下、並びにダストおよびブラックカーボンの沈着によるアルベド低下を考慮している。2.2 初期値と境界条件実験設定はPaleoclimate Modelling Intercomparison Project Phase III(PMIP3)の仕様に従い、西暦850年から西暦2000年まで、時間変化する境界条件を与えて時間発展問題として実施した。与える境界条件は軌道要素、太陽の日射量変動、火山活動の影響、温室効果ガス濃度が含まれる。ESM実験については、大気CO2濃度を強制条件とせず、炭素循環コンポーネントが予報した値を大気モデルの放射過程で参照する、CO2濃度予報実験とする。初期値としては、大気海洋陸面とも、Preindustrial Controlと呼ばれる1850年条件の標準実験から開始してスピンアップを行った。西暦850年と1850年では強制条件の値が似通っており、地形などの境界条件に変更はないため、60年分のスピンアップで大気物理場が平衡に達したのちに本実験へと移行した。3.予備的な結果と今後の展望現在GRENE北極環境研究によって現地観測が行われている極域の4地域に着目し、冬季気温、降水、降雪、 降水に占める降雪の割合、地表面流出量の時系列を解析した。20 世紀後半の温暖化が顕著である一方で 19 世紀以前の変動に は目立ったトレンドが見られず、年々の振幅が大きい結果となっている。降水量には変動が見られないにも関わらず積雪は減少しており、冬季の気温上昇を反映して降雪の割合が低下している結果が現れていると考えられる。