日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34_1PM1] 統合的な陸域生態系-水文-大気プロセス研究

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 213 (2F)

コンビーナ:*佐藤 永(名古屋大学大学院 環境学研究科)、伊勢 武史(兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科)、熊谷 朝臣(名古屋大学地球水循環研究センター)、座長:佐藤 永(名古屋大学大学院 環境学研究科)

15:30 〜 15:45

[ACG34-04] 永久凍土環境の変遷と長期的な気候変動への応答

*末吉 哲雄1斉藤 和之1石川 守2原田 鉱一郎3岩花 剛4 (1.独立行政法人海洋研究開発機構、2.北海道大学、3.宮城大学、4.アラスカ大学)

キーワード:永久凍土, 気候変動, 地下氷, 炭素循環

永久凍土は2年以上連続して凍結した状態の土壌・岩盤として定義され、北半球陸面の20%以上の面積を占める。主に高緯度地域に分布し、寒冷圏の陸面としては所与の状態である。定義上、永久凍土は必ずしも氷の存在を意味するわけではないが、高緯度の永久凍土では表層に氷体を含むことが多く、地球上の淡水の0.02%に相当するという推定もある。土壌中には未分解の炭素を多く含み、約1700Gt(陸上の有機炭素の約半分、大気中の炭素量の約2倍)の存在量を持つと推定されている。永久凍土の分布は、現在の気候・地表面条件と過去の履歴によって決定されるが、依存する時間スケールは凍土中の各点の深さ・熱物性によって異なる。また、例えば土壌中の炭素蓄積量は地温とは異なる時間スケールの変動に依存し、様々なプロセスに複雑に依存して分布が決まっている。現在分布する永久凍土は、深い部分では最終氷期以降に形成されており、完新世の気候変化に緩やかに応答している過程であると考えられる。本発表では、これら永久凍土の特性と今後明らかにすべき研究課題を整理し、長期的な気候変動に対する応答の一例として最終氷期以降の気候変動と現在の凍土分布に関する研究の一例を簡単に紹介する。