日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34_1PM2] 統合的な陸域生態系-水文-大気プロセス研究

2014年5月1日(木) 16:15 〜 17:00 213 (2F)

コンビーナ:*佐藤 永(名古屋大学大学院 環境学研究科)、伊勢 武史(兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科)、熊谷 朝臣(名古屋大学地球水循環研究センター)、座長:佐藤 永(名古屋大学大学院 環境学研究科)

16:45 〜 17:00

[ACG34-P02_PG] 熱帯雨林の物質生産と樹木群集の動態における気候変動に伴う水ストレスの影響

ポスター講演3分口頭発表枠

*藤井 新次郎1佐藤 永2熊谷 朝臣1 (1.名古屋大学・地球水循環研究センター、2.名古屋大学大学院・環境学研究科)

キーワード:干ばつ, 水ストレス, エルニーニョ, 熱帯雨林, 物質生産, SEIB-DGVM

近年、世界各地でエルニーニョ・南方振動に起因する気候変動に伴う干ばつによる樹木の一斉枯死が報告されている。樹木の成長とリターフォール生産における大幅な減少は、記録的な高温の1997/98年エルニーニョで発生した。熱帯域は強い太陽放射を受けるため、熱帯域の植生は炭素固定、水循環、さらには気候形成に対して強いフィードバック効果を持つ。また、熱帯林は陸上植生の 40-50%の炭素を貯蔵しており、炭素を貯蔵する巨大な炭素シンクとして重要な生態系である。熱帯林のように多様な種で構成される生物群集では、物理環境の変化に対する反応は作用する機能群によりその影響は異なる。生物群集の中で重要な役割を果たしている特定の機能群の動態の変化は、熱帯林全体の構造や生態系機能に大きな影響を及ぼす可能性がある。本研究の目的は、地球温暖化などの気候変動に伴う全球レベルの植生動態の変化を予測するために開発された空間明示で個体ベースの植生動態モデルである SEIB-DGVM を用いて、熱帯雨林の物質生産や樹木群集の動態における干ばつのインパクトを予測することである。モデルシミュレーションでは、マレーシアのスマトラ島の熱帯雨林において観測された大規模なエルニーニョ現象の 1997/98 年を含む 1997-2009 年間の樹木群集と気象観測の実測データから典型的な降雨パターンを再現し、降水イベントの頻度や日降水量に関するパラメータを操作して干ばつ実験を行った。実験結果に基づき、水ストレス環境の変化に伴う200 年間の熱帯雨林における生産量の変化と枯死動態を検証した。