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[ACG36-25] ALOS/PALSARを用いたSvalbard, NovayaZemlyaにおける氷河の流動速度の検出
キーワード:氷河, 速度
本研究は、日本が打ち上げた人工衛星ALOS「だいち」に搭載された合成開口レーダーPALSARの観測データを用いて、氷河の流動速度を検出することを試みた研究である。 近年、合成開口レーダーSARを用いた研究で、グリーンランドの氷河の流動速度が速くなっているということが報告されている(Moon et al., 2012)。これは地球温暖化に伴う、気温・海水温上昇が原因であると考えられている。それでは、同じく高緯度に位置する他の地域の氷河の、近年の流動はどうなっているのだろうか。 Svalbard, NovayaZemlyaとは北緯70°~81°付近に位置する北極圏の島で、氷河が多数存在している。この2つの地域で氷河を調べることで、グリーンランドで起こった氷河流動速度の上昇が、他の北極圏の氷河でも起こっているのかを調べた。この2つの地域は、1990年代にSARを用いて氷河流動が調べられている先行研究がある(Strozzi et al., 2008)。その先行研究ではいくつかの氷河を調べており、本研究ではその中のDuvebreen氷河 (Svalbard)、Vize Glacier (NovayaZemlya)に注目して観測を行った。 今回、用いたデータはPALSARが観測したものであり、Duvabreen氷河は2007年7月から2010年10月までの10の時期の観測データを、Vize Glacierは2007年2月から2010年12月までの13の時期の観測データを用いた。 これらの観測データを解析して速度計算を行い、先行研究のデータを比べることで、近年の氷河流動速度の変化を調べた。 その結果、本研究で調べたSvalbard, NovayaZemlyaの2つの氷河は、どちらも1990年代の速度よりも速くなっていることが確認された。これは、北極圏にある他の氷河の流動速度が増加していることを示唆しており、グリーンランドで観測された氷河流動速度の増加が、広域で起きている可能性を示した結果となった。