日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG36_30PO1] 北極域の科学

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*齊藤 誠一(北海道大学大学院水産科学研究院)、猪上 淳(国立極地研究所)、原田 尚美((独)海洋研究開発機構)、鈴木 力英(海洋研究開発機構 地球環境変動領域)

18:15 〜 19:30

[ACG36-P13] 北極陸域における全球再解析データ比較 -観測に基づく陸面モデル入力データセットの作成に向けて-

*森 淳子1斉藤 和之2宮崎 真1末吉 哲雄2飯島 慈裕2羽島 知洋2 (1.国立極地研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:北極域, 陸域モデル, 再解析データセット

2011 年度から文部科学省の「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE) 事業北極気候変動分野「急変する北極気候システム及びその全球的な影響の総合的解明(GRENE Arctic Climate Change Research Project (GRENE-ACCRP))が開始された。同事業の研究課題「環北極陸域システムの変動と気候への影響(GRENE Terrestrial Ecosystem in Arctic: GRENE-TEA)」は、気候システムにおける北極陸域システムの役割と機能を明らかにして、全球の気候への北極域の変化の影響を評価する事を目的としている
北極陸域における観測値を用いたモデルの相互比較「北極陸域モデル相互比較プロジェクト(GTMIP)」は,GRENE-TEAのモデリンググループのプロジェクトの一つである.GTMIPでは,GRENE-TEAなどによる現地観測で得られたデータを用いて,モデル入力データ及び検証データを作成し,モデル間および各サイト間の比較を行う.
現地観測データを入力値として用いる場合,実際の観測値には欠測値や観測されていない項目があるため,そのままではモデル入力データとはならない.そこで,GTMIPでは以下のような手順で観測サイトごとの入力データセットを作成している.まず,再解析データ(モデルベースの全球再解析およびステーションベースのCRU)をベースにした7要素(気温、比湿、降水量、風速、気圧、下向き短波・長波放射量) 30年分の連続データ(version.0; v0)を作成する.その後,現地観測データを用いてv0を補正することで,観測サイトの特徴を持ち,かつ,モデル入力に適したデータセット(version1; v1)を作成する.このようにして作成されたv1を入力とするモデル出力を用いることにより,現地観測された検証データ(地温,土壌水分,積雪深や葉面積指数など)との比較に際して,モデル以外の要素に起因する誤差が少なくなることが見込まれる.
使用する再解析データについては,異なる特性を持つ数種類のデータセットが現在利用可能である(例えば,提供期間が比較的長いNCEP/NCARや,2013年に公開されたばかりのJRA-55など).これらのうち,GRENE北極プロジェクトの観測サイトが分布する北緯60度以北の状況を最もよく再現しているデータセットを選択することを目的として,以下の主要な全球再解析データ間で比較を行った.比較した再解析データはERA Interim, JRA-55, MERRA, NCEP/NCAR Reanalysis 1, NCEP-DOE Reanalysis 2,NCEP-CFSRの6種類であり,比較対象はCRUとした.本研究では,入力データセットとしてGTMIPで提供する予定の7要素のうち,より本質的と考えられる2m気温と降水量について検討を行った結果を示す.