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[ACG36-P16] 北東シベリアタイガ‐ツンドラ境界域湿地土壌のメタン酸化ポテンシャル
キーワード:メタン酸化, ツンドラ, 泥炭
北極域の湿地帯は大気メタンの重要なソースであり、気候変動にともなう温暖化と永久凍土の融解は北極域湿地帯のメタン生成を促進すると考えられる。メタン酸化は湿地から大気へのメタン放出を制御する鍵となるプロセスであり、本研究では北東シベリアのタイガ-ツンドラ移行帯における湿地土壌の潜在的なメタン酸化活性を、その空間分布と環境要因の影響に着目して測定した。2012年、2013年の夏期にミズゴケ、スゲの泥炭、および隣接するカラマツ、コケ植生のマウンドから表層土壌(0-10cm)を採取した。採取した土壌を均質にした後に一定濃度のメタン(0.5-0.8%v/v)とともにガスクロバイアル中で培養し、経時的にメタン濃度を測定した。マウンドの土壌ではメタン酸化活性は認められなかったが、泥炭土壌では活発なメタン酸化(培養温度15℃のとき190-270 nmol h-1 g-1乾土)が観察された。層位別のメタン酸化活性を測定したところ、最大活性は水飽和層の直上(ミズゴケ泥炭:4-6 cm, スゲ泥炭:0-2 cm)で観察された。また、嫌気的と考えられる水飽和層の土壌でも活発なメタン酸化が認められ、メタン酸化細菌が環境の変化に素早く反応したものと推察された。0-15℃の範囲で温度依存的なメタン酸化活性の変化が確認されたが、0℃でもメタンの酸化は観察され、メタン酸化が起こる最低温度は-4~-11℃と推定された。大気から供給されると想定される無機養分やブラックカーボンの添加はメタン酸化活性に影響を与えなかった。