日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG37_28AM2] 熱帯におけるマルチスケール大気海洋相互作用現象

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:31 423 (4F)

コンビーナ:*名倉 元樹((独) 海洋研究開発機構)、長谷川 拓也(独立行政法人海洋研究開発機構)、清木 亜矢子(海洋研究開発機構)、東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、時長 宏樹(ハワイ大学国際太平洋研究センター)、大庭 雅道(電力中央研究所 環境科学研究所 大気海洋環境領域)、今田 由紀子(東京大学大気海洋研究所)、座長:名倉 元樹((独) 海洋研究開発機構)、清木 亜矢子(海洋研究開発機構)

12:10 〜 12:25

[ACG37-05] CINDY2011期間中に観測された急激なSST冷却と海洋ロスビー波との関係

*清木 亜矢子1勝俣 昌己1堀井 孝憲1長谷川 拓也1Richards Kelvin J.2米山 邦夫1城岡 竜一1 (1.海洋研究開発機構、2.ハワイ大学)

キーワード:CINDY2011, SST冷却, インド洋

熱帯域において支配的な大気変動であるマッデン・ジュリアン振動(MJO)に伴う大気海洋変動メカニズムの解明を目的としたインド洋国際観測プロジェクトCINDY2011が2011年秋~2012年春に実施された。その中で研究船「みらい」は東経80.5度、南緯8度の中部南インド洋において約2ヶ月間の定点観測を行った。期間中、MJOに伴う大規模対流は10月下旬と11月下旬に発達し、11月事例での赤道南側の対流活動は北側に比べ1週間ほど遅れて活発化した。11月中旬、みらい観測において海洋表層の水温と塩分に急激な低下がみられた。この劇的な変化は、南インド洋を西進する海洋ロスビー波に伴う表層流の南西向きから西向き/西北西向きへの変化と関連していた。海洋混合層収支解析において、海面フラックスは海洋を暖める方向に働いており、今回の急激な冷却事例への寄与は小さかった一方で、水平移流は大きな役割を担っていた。一般的に暖水ロスビー波は水温躍層を押し下げ海面水温を高くする傾向にあるが、今回はロスビー循環に伴う移流の効果によって冷却をもたらしたと考えられる。また、この冷たい表層水温がMJO発達における初期対流を抑制し、赤道南側における対流オンセットの遅れにつながった可能性がある。