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[ACG37-18] インド洋亜熱帯ダイポールモード現象の長期変調のメカニズム
インド洋亜熱帯ダイポールモード現象(IOSD)は、南インド洋における気候変動現象として知られており、正のIOSDは熱帯インド洋南東部に負の海面水温偏差、南インド洋南西部に正の海面水温偏差を伴う。本研究では、観測データと海洋大循環モデルの結果を用いて、IOSDの長期変調を初めて調べた。その結果、1,2月の南西極における混合層厚の減少傾向のために、IOSDの発生周期が短くなっていることが明らかになった。IOSDに伴う正(負)の海面水温偏差は、混合層が通常よりも薄く(厚く)、気候値の短波放射による加熱が強められる(抑えられる)ために生じる。近年、混合層が薄いことによって、この効果が増幅され、弱い大気の強制によってもIOSDが励起されている、と考えられる。モニンオブコフ深に基づく診断から、混合層厚の減少傾向は、海面熱フラックスの増加傾向によることが分かった。一方、IOSDの振幅が減少していることも示された。これは、12月に成長が始まるIOSDが、近年12月の混合層が深くなっている傾向により、現象の成長に適さない場が作られているからである。また、1,2月において混合層が薄くなる傾向にあるため、海面水温偏差を作りやすくする正の効果と共に、海面水温偏差を減衰させる負のフィードバック過程も強化されることによる影響も考えられる。IOSDの長期変調に対応する大気による強制の変化は見られないため、混合層厚の長期変調がIOSDの長期変調において重要であると言える。