日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG38_28AM1] 地球環境関連データセット博覧会

2014年4月28日(月) 09:00 〜 10:45 213 (2F)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、芳村 圭(東京大学大気海洋研究所)、釜堀 弘隆(気象研究所)、川原 慎太郎(海洋研究開発機構)、座長:川原 慎太郎(海洋研究開発機構)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)

10:00 〜 10:15

[ACG38-05] 新しい海洋観測測器であるUnderwayCTD観測結果の紹介

*長谷川 拓也1横井 覚1茂木 耕作1勝俣 昌己1植木 巌1安藤 健太郎1米山 邦夫1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:海洋表層現場観測, UnderwayCTD

1. はじめに  2013年5月から7月にかけてフィリピン海周辺で実施された「みらい」MR13-03航海において、新世代の海洋観測測器であるUnderway CTD(UCTD: 米国Oceanscience社製)の試験観測を行った。本試験観測の目的は、大型船である「みらい」におけるUCTD運用手順を確立することや、CTD観測との比較を行いUCTD精度の検証を行うことである。本講演では、MR13-03で実施したUCTD試験観測に基づいて、UCTD運用に関する情報やCTDとの比較結果を示す。  UCTDの特徴は、従来のCTD観測とは異なり、XCTD/XBTと同様に航走しながら観測を行える点である。さらに、プローブを破棄することなく、XCTDよりも高い精度で水温・電気伝導度・圧力の測定を繰り返し行う。すなわち、UCTDは、XCTDとCTDの長所を併せ持つ。UCTDは非常にコンパクトであり、主な構成パーツは、ウィンチ、リワインダー、ダビット、電源ボックス、センサープローブおよびテールスプールである。2. 結果(i) 所要時間などリワインディングからデータ吸い出すまでの一連の作業に要する時間は、200-750m観測では約25分から35分であった。「みらい」が大型船であることを考慮すると、より小型の船舶では揚収がより容易になることから、所要時間を5分以上短縮可能であると考えられる。また夜間観測を行ったが作業に支障は生じなかった。 (ii) 連続キャスト連続キャスト時における注意点として、巻き上げに使用するウィンチのモーターの負荷が増大した際にモーターの作動に支障が生ずる可能性が挙げられる。本航海では、3連続200mキャスト、3連続500mキャスト、7連続250mキャストの全てにおいてウィンチモーターの作動に支障は発生しなかった。 (iii) 落下速度投入時にセンサープローブの落下速度が規定値の4m/s程度となることが重要となる。試験観測の結果、落下速度は概ねおよそ3.5m-4.2mの範囲に収まっており、この場合は観測データに異常は見られなかった。ただし、テールスプールから全てのラインを出し切った後は、ウィンチからのライン繰り出しのみとなり、落下速度が2m/s以下まで低下し、塩分スパイクが見られたケースがあった(詳細は発表時に示す)。 (iv) UCTD/CTD比較実験前述の「連続観測比較実験」及び「同時観測比較実験」を行った結果、UCTDシステム全体の妥当性及びUCTDセンサーの精度ともに良好であることが確認された。詳細は発表時に示す。[謝辞] 本観測で使用したUCTDは、UCTDに関する日本代理店(株)イーエムエスより借用いたしました。「みらい」MR13-03航海に乗船された(株)グローバルオーシャンディベロップメント、(株)マリン・ワーク・ジャパンの皆様および本航海の全ての関係者の皆様に感謝致します。