日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG38_28AM1] 地球環境関連データセット博覧会

2014年4月28日(月) 09:00 〜 10:45 213 (2F)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、芳村 圭(東京大学大気海洋研究所)、釜堀 弘隆(気象研究所)、川原 慎太郎(海洋研究開発機構)、座長:川原 慎太郎(海洋研究開発機構)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)

10:30 〜 10:45

[ACG38-07] 大気海洋結合領域モデルによる現在および将来気候の力学的ダウンスケーリング

*芳村 圭1Ham Suryun1Li Haiqin2 (1.東京大学大気海洋研究所、2.フロリダ州立大海洋大気予測研究センター)

キーワード:大気海洋結合領域モデル, 沿岸湧昇流, 領域気候予測, 力学的ダウンスケーリング

本研究では、領域大気海洋結合モデル(RSM-ROMS)を開発し、CCSM3によって計算された20世紀気候再現実験と21世紀気候予測実験の結果を大気と海洋両方の側方境界条件として、アメリカ合衆国南西部を対象とした力学的ダウンスケーリングを行った。その結果、海洋湧昇流による低温海水の供給により、沿岸域、特にサンフランシスコベイエリアなどにおいて沿岸湧昇流の効果による気温上昇の低減が見られた。そのため、極端な高温日の頻度が大気海洋結合時と非結合時のシミュレーションによって大きく異なった。また、カタリナ渦という南カリフォルニア沖に数時間スケールで現れるメソスケール現象の頻度が、温暖化により約3割低下することが予想されていたが、大気と海洋を結合することで頻度の減少が約2割に抑えられることが判明した。このような大気海洋が結合することによる相互作用による気候への影響は、海に囲まれた日本列島においてはより顕著であると考えられるため、同様なフレームワークの実験を東アジア領域に適用した。初期結果として、日本の夏から秋にかけて、特に黒潮とその上空表層の風が逆方向になる時期には沿岸沈降流が発生し、暖かい海水が沿岸域に集中する傾向があることがわかった。すなわち、カリフォルニアのケースとは逆に、非結合モデルで予測されていた温暖化の程度は東京を含む太平洋側地域では過小評価である可能性があること示唆している。今後さらに解析をすすめるとともに、発表時には陸域からの河川流出による海洋への影響を考慮した結果を紹介する予定である。