日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG38_28PO1] 地球環境関連データセット博覧会

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、芳村 圭(東京大学大気海洋研究所)、釜堀 弘隆(気象研究所)、川原 慎太郎(海洋研究開発機構)

18:15 〜 19:30

[ACG38-P02] 将来HPCでの使用を見据えた共通基盤ライブラリ(SCALE)の開発とSCALEを用いて作成されたデータセット

*佐藤 陽祐1西澤 誠也1八代 尚1宮本 佳明1富田 浩文1 (1.理化学研究所計算科学研究機構)

近年の計算機能力の急速な発達によって、数値モデルは高解像度化とそれ自体が取り扱う個別のプロセスの精緻化が急速に進んでいる。このような数値モデルの発展は大型計算機と切っても切れない関係があるが、大型計算機の動向の変化と、高解像度化、精緻化に伴って生じてきた問題がある。理化学研究所計算科学研究機構では次世代High Performance Computing (HPC)での使用を見据えた、超並列、大規模計算のための数値計算ライブラリSCALE (Scalable Computing for Advanced Library and Environment)ライブラリの開発を進めている。SCALEライブラリはBSD2条項に基づいて、誰でも自由に利用することができ、理化学研究所のホームページより公開されている(http://scale.aics.riken.jp/)。
現状ではSCALEライブラリのひとつのコンポーネントとして、SCALE-Large Eddy Simulation (LES)が利用可能である。このSCALE-LESは完全圧縮方程式の基づき、完全陽解放(水平鉛直ともに陽解放を用いるHE-VEスキーム)を用いていることが一つの特徴である。また陰的な数値粘性を極力排除するために、空間差分化には偶数次の差分を用い、密度に関わる項は2次の中央差分、その他の項は4次の中央差分を用いている。また時間積分は3段のルンゲ・クッタスキームを用いている。
実装されている物理コンポーネントは乱流スキーム、放射モデル、3種類の雲微物理モデル(1-moment bulk, 2-moment, Binモデル)などである。近い将来、エアロゾルモデル、地表面過程、陸面モデル、都市モデル、化学輸送モデルなども実装予定である。
また現状で利用できるコンポーネントはLESのみであるが、領域モデルや全球モデル、さらには気象・気候にとどまらず、数値計算の対象となる様々なコンポーネントを実装し、様々なコンポーネントを組み合わせて計算を行うことができるようにする予定である。さらに、SCALEライブラリを用いて、解像度数m~数十mで計算された計算結果のデータセットが整いつつある。
本発表ではこのSCALEライブラリの紹介と、計算結果の一部を紹介し、高解像モデルにおいて大きな問題となっている大規模なデータの取り扱いや可視化の問題に関して、他分野で同様の問題を抱えている参加者と活発な議論することを期待する。