日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG38_28PO1] 地球環境関連データセット博覧会

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、茂木 耕作(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、芳村 圭(東京大学大気海洋研究所)、釜堀 弘隆(気象研究所)、川原 慎太郎(海洋研究開発機構)

18:15 〜 19:30

[ACG38-P04] 神戸市長田区における教育利用を目的とした気象観測

*福島 あずさ1大塚 成昭1 (1.神戸学院大学人文学部)

キーワード:気象・地震観測データ, 地学教育, 神戸市長田区

気象や気候は小学・中学・高等学校の理科や地理の単元として扱われる。近年、気象観測機器の普及によって、気象庁以外でも各地で教育・研究目的での気象観測が行われるようになり、インターネットを通じて多くのデータが入手しやすくなっている。一方で、観測やデータ解析の実習を伴う発展的な授業を行なうためには、解析事象の選定やデータの準備など教員の負担が大きい。気象データの教育利用を推進するためには、学校教員の負担を軽減するため、公開する側が何らかの支援策を用意することが望ましいと考えられる。本報告では、神戸学院大学地域研究長田センターにおいて、2011年より開始された気象観測データの教育利用に向けた取り組みについて発表する。
地域研究長田センターは2010年に神戸市長田区の旧二葉小学校内に設置された。2011年夏に環境計測システムを導入し、9月11日より気象要素と地震要素の計測を開始した。気象要素として、気温、風向風速、相対湿度、雨量、全天日射量、紫外線A・B、気圧を、さらに強震計による震度・波形、地下水位、地下水温を計測している。データは日報(日最高・日最低・1時間値)、月報(日最高・最低・平均値等)、年報(月最大・最小・平均値等)として自動的にサーバに保存される。現在、教育・研究目的での利用に限り、事前に登録済みのユーザーに対して日報形式のデータファイルを公開している。
観測地点は長田港から約400mの低位段丘層に位置し、海に近接した市街地の3階建て旧校舎屋上である。同じく海浜地区にある神戸地方気象台から南西に7kmほどの距離にある。神戸近辺の気象庁観測所はほかに明石のアメダスがあるが、明石海峡をはさんで播磨灘側の二見に設置されている。長田は大阪湾側に位置し、歴史的にも有名な須磨の浦、六甲・淡路島断層帯の須磨断層のすぐ東にあたる。神戸市の中心市街の東側に位置するため、東側に設置されている神戸地方気象台のデータと併せて利用すれば、地域スケールでの海陸風やヒートアイランドの研究を行うことが可能である。また観測装置の見学や観測方法の解説、体験なども可能である。
身近な長田での観測データから、気象変化を解析的に理解する教材を作成できる。さらに、地方気象台やアメダスのデータと比較することで、地理的、時間的感覚を養うことも可能となる。発表では、2012年、2013年の二年分のデータを利用した夏季の天候比較を示し、これらの解析を使った教材への展開について述べる予定である。