日本地球惑星科学連合2014年大会

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セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW25_2PO1] 同位体水文学2014

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*安原 正也(独立行政法人 産業技術総合研究所)、風早 康平(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、大沢 信二(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、高橋 正明(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、鈴木 裕一(立正大学地球環境科学部)、風間 ふたば(山梨大学大学院医学工学総合研究部工学学域社会工学システム系)、浅井 和由(株式会社 地球科学研究所)

16:15 〜 17:30

[AHW25-P01] GC/C/IRMSによる地下水中の有機塩素系化合物分解の評価

*米山 由紀1新井 洋平2中村 高志1風間 ふたば1 (1.山梨大学国際流域環境研究センター、2.株式会社日立プラントサービス)

キーワード:GC/C/IRMS, 有機塩素系化合物, 微生物分解

近年、微生物を利用したオンサイトでの地下水中の有機塩素系化合物の処理が注目されている。しかし、濃度のみの分析では実際に微生物作用がどの程度あったかを評価することが難しく、評価するための技術が求められている。
そこで、微生物による処理と同位体比値の関係を調べるために、有機塩素系化合物のトリクロロエチレン(TCE)とその分解生成物であるジクロロエチレン(DCE)、塩化ビニル(VC)中の炭素安定同位体比(δ13C値)の測定を行った。
測定にはP&T(GLサイエンス社製)を前処理装置としたGC-C-IRMS(Agilent : 7890A GC System, SerCon : GC-CP, SerCon : 20-22)を用いた。測定下限は200ng-C程度で、測定精度はδ13C値でそれぞれ±0.08、±0.37、±0.11‰であった。
地下水は、微生物活動を活発化させるための栄養剤を注入した場所と、対照地点として注入していない複数の場所で採取を行った。
微生物による処理を行っていない場所では濃度の減少はあるものの、一般に製造販売されているTCEの同位体比値とほぼ同じであった。一方、微生物処理を行っている場所のTCEは、濃度の減少とともに同位体比値が上昇する傾向を示した。また、TCEの分解生成物であるDCE、VCでも同様の傾向を示した。
同等の濃度減少が起こった場合でも、GC-C-IRMSを用いた有機塩素系化合物中のδ13C値を測定することにより、希釈・拡散・吸着等の物理的要因による濃度減少と、微生物的分解を受けたことによる濃度減少を判別することが可能であることが明らかとなった。