日本地球惑星科学連合2014年大会

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セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW25_2PO1] 同位体水文学2014

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*安原 正也(独立行政法人 産業技術総合研究所)、風早 康平(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、大沢 信二(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、高橋 正明(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、鈴木 裕一(立正大学地球環境科学部)、風間 ふたば(山梨大学大学院医学工学総合研究部工学学域社会工学システム系)、浅井 和由(株式会社 地球科学研究所)

16:15 〜 17:30

[AHW25-P02] 平塚市における大気水蒸気と雨水の地域特性

*髙木 健太1大木 誠吾2大場 武2 (1.東海大学大学院理学研究科化学専攻、2.東海大学理学部化学科)

キーワード:降水, 同位体

天水の酸素・水素安定同位体比は地理的条件や気候に影響される。天水線は世界全体の平均同位体組成を表し、次式が与えられている。(Craig,1961)
δD=8δ18O+10 (1)
しかしながら、y切片はすべての地域で10になるとは限らない。日本では、天水は太平洋と日本海から生成され、季節風により2つの海の影響が変化する。一方、大気水蒸気の同位体比は大気循環の研究において重要とされているが、その研究例は少ない。本研究では、平塚市の降水と大気水蒸気でd-excessの変動について調べた。
実験方法
試料は東海大学湘南キャンパス17号館屋上にて2013年7~12月の期間採取を行なった。降水はNegrel et al.(2011)とYoshimura(2002)を参考にし、時間・日単位で採取した。採取した降水は0.2 μmフィルターで濾過し、100 mlポリエチレンボトルに保管した。大気水蒸気は大気を ドライアイスアルコールのトラップにて採取した。試料は降水42試料・水蒸気11試料を採取した。同位体組成は水同位体比アナライザーPICARROにて測定した。同日に採取した試料は日平均として値を出した。
結果・考察
降水はδDが-86.4~+6.2 ‰、δ18Oが-12.6~-2.6 ‰の間でそれぞれ変化を示した。大気水蒸気はδDが-223.5~-98.6 ‰、δ18Oが-31.2~-14.7 ‰の間でそれぞれ変化を示した。δDとδ18Oの関係式は降水でδD=9.2δ18O+24.0 (R2=0.95) 大気水蒸気でδD=7.3δ18O+7.9 (R2=0.96) と与えられた。そして、d-excessは4.4~33.2 ‰の間で変化した。日本では、d-excessが太平洋では低く(10≥d)、日本海で高くなる(20≤d)ことが知られている(Waseda and Nakai,1983)。本研究の試料では、d-excessの値は季節風の影響により値が夏は南風で低く、冬は北風で高い傾向が見られた。この傾向は大気水蒸気でも表れており、天水が受ける影響は大気水蒸気にも及ぼされると考えられる。降水の天水線はいくつかの要因、例えば異なる水蒸気の供給源を反映したd-excessに影響を受けていた。そのためGMWLとは傾きが変化していた。