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[AHW25-P05] 鳥海山西麓の地下水流出特性
キーワード:鳥海山, 海底湧水, 基底流量, 水収支, 地下水年代
出羽富士と形容される鳥海山は、日本を代表する成層火山の1つである。火山体は主に安山岩溶岩によって形成されており、西麓においては溶岩流の末端が日本海まで達している。海岸付近では溶岩流末端から地下水が集中的に流出しており、その一部は海底湧水になっている(谷口、2009)。著者らは、海底湧水の湧出機構を明らかにすることを目的として2012年と2013年の夏季に地球化学的手法による調査を実施した。その結果、安定同位体比や年代トレーサーの分析結果に基づいて、海底湧水や海岸湧水の主涵養域が山麓部であることや比較的長い滞留時間(約25年)を持つことが分かってきた(浅井ほか、2013)。一方、海底湧水の流出量については、いくつかの地点で直接測定が試みられているが、溶岩流の割れ目等から点として湧出する海底湧水の総量を評価するのは容易ではない。本研究では、陸域側の水収支から海底湧水の流出量を間接的に評価することを目的として、2014年1月末に鳥海山西麓を中心に15河川において渇水期の河川流量観測を実施した。発表では、基底流量分布からみえる西麓の地下水流出特性や渇水期における海底湧水・海岸湧水の涵養標高・年代データについて紹介する予定である。