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[AHW27-01] 愛媛県西条平野における地下構造と地下水流動
キーワード:自噴井, CSA-MT法, 地下水流動, 地下構造
愛媛県西条市に広がる西条平野には,数多くの自噴井戸が分布しており,生活,工業,農業用水として利用されている.そのため,豊富な地下水資源を確保し保全していく必要がある.そこで,本研究では,西条平野の地下構造と地下水流動について調査を行い,地下構造と地下水流動について議論することを目的とした.本調査地域には,後期白亜紀和泉層群と完新統が分布している.地下の比抵抗分布を明らかにするために,CSA-MT法による地下構造の比抵抗調査を行った.その結果,調査地域の南部において完新統と和泉層群の境界である岡村断層を確認した.また,北部において約6000年前に噴出した鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah)を変位させる西条北断層を新たに認定した.さらに,低比抵抗を示す古海水の上部に高比抵抗を示す淡水が分布していると考えられる.これらの結果より被圧地下水の形成メカニズムについて,次のように考察を行った.被圧構造は,調査地域の地形,地質構造が形成されていく過程で形成したものであると考えられる.現在の西条平野は,第四紀の海水準変動の影響を受け,長い期間海域であり,地下には海水が浸入していたものと考えられる.有史以降,平野は干拓によって形成された.それに伴い,淡水が古海水の上部に浸入しはじめ,淡水と古海水との境界が形成された.淡水と塩水の密度は異なるため,古海水によって淡水の流動が妨げられ,海岸部へ向かう地下水流動が生じる.この地下水は,不透水層によって加圧され,破砕幅2mほどの不透水性を示す断層破砕帯によってさらに加圧され,海岸域に分布する古海水域が淡水の流れを制限することによって被圧地下水となったものと考えられる.以上のことより,”うちぬき”と呼ばれる被圧地下水が形成されたものと考えられる.