日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW28_30AM1] 流域の水及び物質の輸送と循環-源流域から沿岸域まで-

2014年4月30日(水) 09:00 〜 10:45 314 (3F)

コンビーナ:*知北 和久(北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門)、入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、小野寺 真一(広島大学大学院総合科学研究科)、中屋 眞司(信州大学工学部土木工学科)、小林 政広(独立行政法人森林総合研究所)、齋藤 光代(岡山大学大学院環境生命科学研究科)、吉川 省子(農業環境技術研究所)、奥田 昇(京都大学生態学研究センター)、座長:齋藤 光代(岡山大学大学院環境生命科学研究科)

09:30 〜 09:45

[AHW28-03] 北海道・登別熱水系の周辺水域への影響評価

*落合 泰大1知北 和久1 (1.北海道大学大学院理学院自然史科学専攻地球惑星ダイナミクス講座)

キーワード:登別温泉, 倶多楽湖, 熱収支, 熱流量, 熱水系

多様な熱水系が発達している北海道・登別地域は酸性の高温温泉が存在し、温泉水の高いδD値,δO18値などからマグマ起源の流体の寄与が推定されている(松葉谷ほか、1977)。隣接する第四紀火山起源の倶多楽湖も含め、この地域全体として90℃/kmと非常に高い地温勾配が報告されている(茂野、2011)。しかし、地質構造データの不足により同地域の熱水系の議論は十分になされておらず、定量的な評価には至っていない。本研究では、初めに登別・沸騰泉池における水収支・熱収支を評価した。沸騰泉池では、熱電対による水温の連続観測を行っており、底部からは,約89℃の熱水が安定して流出している。この水温データに基づく池底からの熱流入量は、2つの期間で2,482 W/m2、3,360 W/m2と得られ、福富ら(1968)による大湯沼での2,600 W/m2と比べ妥当な値を得た。他方、隣接水域である倶多楽湖では最深点で水温の垂直分布の連続観測を行っており、倶多楽湖の湖底水温変動との関係を調べることで登別熱水系の周辺への影響を検討している。なお,同地点でのTCTDプロファイラー観測から,湖底から1.01 W/m2の熱流量が見積もられ,これは熱水流入があることを示唆している.今後は,こうした変動をより詳細に評価し、周辺地域の熱水系の解明をめざすつもりである。