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[AHW28-09] 森林内の放射性Csの移行における懸濁物の寄与
キーワード:放射性セシウム, 森林, 移行, 懸濁物
東京電力福島第一原子力発電所事故により広範囲の森林が放射性Csで汚染された。樹冠とリター層に捕捉された放射性Csは、時間の経過に伴い鉱質土壌に移行している。放射性Csを輸送している林内雨(TF)およびリター層通過水(LL)には、懸濁物が含まれていることが多く、Csの移行に関与していると考えられるが、不明の点が多い。本研究では、TFおよびLLに含まれる溶存態および懸濁態の放射性Cs濃度を測定し、懸濁物の寄与を明らかにすることを目的とした。茨城県城里町および福島県郡山市の森林においてTFおよびLLを月に1~2回採取した。孔径0.45マイクロメートルのメンブレンフィルターによる濾過前、および濾過後に、ゲルマニウム半導体検出器を用いてCs-137濃度を測定した。事故直後の2011年3月および4月に採取した茨城県の森林(スギ人工林)のTFには、14~60 Bq/LのCs-137が含まれており、大部分が溶存態であった。その後、TF中のCs-137の総濃度(溶存態+懸濁態の濃度)は低下し、懸濁態の割合が増加した。夏季にはCs-137の総濃度が一時的に20 Bq/Lを超えることがあり、このときは大部分が懸濁態であった。夏季における一時的な懸濁態のCs濃度の増加は、LLでも観測された。また、福島県のスギ林および落葉広葉樹林のTF、LLにおいても同様の濃度変動が観測された。冬季には溶存態、懸濁態の放射性Cs濃度がともに低下し、移行量が小さくなった。これらの結果から、TFとLLによる放射性Csの移行では、夏季には懸濁物の寄与が大きくなることが明らかになった。