17:15 〜 17:30
[AHW28-P09_PG] 八郎潟調整池の堆積物柱状試料における岩石磁気測定の鉛直分布特性‐干拓地建設の影響‐
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:八郎潟調整池, 堆積物, 岩石磁気, 干拓
We examined the influence of land reclamation on rock magnetic profiles in Lake Hachirogata. In this lake, all flowing rivers exist on an east side and a large reclamation land touch at west and north sides. Two sediment core samples were collected at the eastern central (HL-1) and northwestern bankside (HL-2) sites in this lake in September 2013, using the 1m piston core sampler (7-8 cm diameter). HL-1 was 77cm and HL-2 was 78cm.岩石磁気測定試料は、半裁した堆積物断面の中央からパイプの長さ方向について連続的に採集した。採集は約7cm3の立方体状のプラスチックキューブを用いた。HL-1から33個、HL-2から34個得られた。採取後直ぐに試料を冷蔵保存した。その後、広島大学にて帯磁率測定,等温残留磁化(isothermal remanent magnetization: IRM)測定,三成分IRM段階熱消磁実験を行った。帯磁率測定にはBartington社製MS2センサーを用いた。帯磁率測定では測定値に多少のばらつきが見られたため、1個の試料につき3回以上測定し、安定して得られた値の平均値を試料の帯磁率として採用した。IRM段階付加には夏原技研社製MMPM-10パルスマグネタイザーを用いた。各段階付加後、夏原技研社製SSM-85スピナー型磁力計を用いてIRM測定を行った。IRM測定は残留磁化強度が充分に大きく再現性が高かったので、1個のキューブ試料について1回測定した。1.3Tで獲得されたIRMを飽和残留磁化(Saturation IRM:SIRM)とした。HL-1の三成分IRM段階熱消磁実験は試料中含まれる磁性鉱物推定のために行われた。熱消磁は、夏原技研社製TDS-1C熱調節器を持つ夏原技研社製TDF-8熱消磁装置を用いた。TDF-8は外部磁場を25nT以下まで遮断している。今回は80,120,180,240,280,320,360,440,520,540,560,580,600,640,680℃の15段階で熱消磁を行った。
HL-1では帯磁率とSIRMが上方に向かって徐々する傾向を示した。これは磁性鉱物の含有量が上方に増加していることを示唆している。三成分IRM段階熱消磁実験からは、どの層準もSoft成分が卓越していることが明らかであった。深度0~60cmのSoft成分は240~280℃と560~580℃で急激な減少を示した。このことからHL-1に含まれる主な磁性鉱物はチタノマグネタイト,マグヘマイト,マグネタイトである可能性が高い。しかし、HL-1基底部のSoft成分は240~280℃で急激な減少を示したが、280℃以上では緩やかに減少し、360~440℃でほぼ全て消磁された。HL-1基底部はSIRM/xも高かったため、グレイジャイト(Fe3S4)を含んでいる可能性がある。
HL-2の三成分IRM熱消磁実験結果は全ての層準でSoft成分が卓越していた。また、240~280℃と560~580℃でSoft成分の急激な減少を示した。このことからHL-2の主な磁性鉱物はHL-1と同じくチタノマグネタイト,マグヘマイト,マグネタイトである可能性が高い。帯磁率は深度45~76cmで上方にわずかに増加し、深度30~40cmで最大値を示した。深度0~30cmは上方に減少する傾向を示した。SIRMは帯磁率とわずかに傾向が異なり、深度58cmで最大値を示した。深度58cmは他の層準と比べてHard成分がわずかに大きかった。深度58cmのHard成分は680℃で消磁されたため、ヘマタイト(Fe2O3)が含まれていることが考えられる。
以上のようにHL-1とHL-2の岩石磁気パラメータはそれぞれ異なる傾向を示しており、八郎潟干拓工事を含め、八郎潟調整池周辺の何らかの環境変化を反映している可能性がある。
HL-1では帯磁率とSIRMが上方に向かって徐々する傾向を示した。これは磁性鉱物の含有量が上方に増加していることを示唆している。三成分IRM段階熱消磁実験からは、どの層準もSoft成分が卓越していることが明らかであった。深度0~60cmのSoft成分は240~280℃と560~580℃で急激な減少を示した。このことからHL-1に含まれる主な磁性鉱物はチタノマグネタイト,マグヘマイト,マグネタイトである可能性が高い。しかし、HL-1基底部のSoft成分は240~280℃で急激な減少を示したが、280℃以上では緩やかに減少し、360~440℃でほぼ全て消磁された。HL-1基底部はSIRM/xも高かったため、グレイジャイト(Fe3S4)を含んでいる可能性がある。
HL-2の三成分IRM熱消磁実験結果は全ての層準でSoft成分が卓越していた。また、240~280℃と560~580℃でSoft成分の急激な減少を示した。このことからHL-2の主な磁性鉱物はHL-1と同じくチタノマグネタイト,マグヘマイト,マグネタイトである可能性が高い。帯磁率は深度45~76cmで上方にわずかに増加し、深度30~40cmで最大値を示した。深度0~30cmは上方に減少する傾向を示した。SIRMは帯磁率とわずかに傾向が異なり、深度58cmで最大値を示した。深度58cmは他の層準と比べてHard成分がわずかに大きかった。深度58cmのHard成分は680℃で消磁されたため、ヘマタイト(Fe2O3)が含まれていることが考えられる。
以上のようにHL-1とHL-2の岩石磁気パラメータはそれぞれ異なる傾向を示しており、八郎潟干拓工事を含め、八郎潟調整池周辺の何らかの環境変化を反映している可能性がある。