日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS24_30PM2] 海洋生態系モデリング

2014年4月30日(水) 16:15 〜 18:00 311 (3F)

コンビーナ:*平田 貴文(北海道大学地球環境科学研究院)、伊藤 進一(独立行政法人水産総合研究センター)、座長:平田 貴文(北海道大学地球環境科学研究院)

17:15 〜 17:30

[AOS24-08] 底泥系を考慮した沿岸域の海洋生態系モデルによる物質循環の解明

*舘野 聡1畑 恭子1永尾 謙太郎1 (1.いであ株式会社)

キーワード:海洋生態系モデル, 海洋物質循環

我が国の多くの閉鎖性海域においては、高度経済成長以降、流入負荷の増加や埋め立て等の開発等によって海域環境が変化した。これにより、海中の栄養塩類の循環バランスが崩れ、赤潮や貧酸素水塊、硫化水素が発生し、生態系に大きな影響が生じた。環境基準や水質総量削減等の取り組みにより水質は改善したものの、循環バランスは損なわれたままの海域がみられる。これは陸域からの負荷の変化、底泥への影響の蓄積、外海の状況の変化、生物量の変化など、様々な要因が絡み合っているためである。そこで、それらを総合的に把握し、評価・改善できるよう、水中の栄養塩類や低次生態系に加えて沿岸域の環境に重要な底質、底生生物、カキ等の高次捕食者、藻類、溶存酸素を同時に解析できるモデルを開発した。このモデルを広島県中部に位置し、カキの養殖が盛んな三津湾に適用し、物質循環の状況を調べた。その結果、三津湾の物質循環においては外海からの栄養塩の流入が支配的で、陸域からの負荷の影響は相対的に小さいことがわかった。また、貧酸素水塊はみられなかったが、カキの養殖によって底泥に有機物が堆積し、底泥内で硫化水素が発生していることがわかった。この硫化水素の抑制が、三津湾の生態系の改善と持続的な利用に重要であることが示唆された。