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★ [BAO01-05] 生命を生み出す地球外海洋を作る
キーワード:氷衛星, 生命存在条件, 地下海, ハビタブルゾーン, 木星型惑星, 惑星系の起源
科学研究費に提案中のプロジェクト「太陽系の海と生命たち」(代表:山岸明彦氏)の1グループとして、太陽系形成の新しい描像に沿った衛星起源・進化の理論研究、氷高圧物性実験、岩石水相互作用研究により、巨大惑星の氷衛星の起源と形成過程、地下海形成過程および普遍性の解明を目指している。雪線(スノーライン)の外側で集積した木星型惑星周囲には氷に富む衛星系が存在する。軌道共鳴状態に入ると潮汐摩擦で、地下海が生成・維持される。太陽から遠ざかると表面温度は下がるが、NH3, CH4, COなど融点を下げる成分は増える。水岩石相互作用により生成される塩類は、生命材料となるとともに 氷の融点を下げる。いわゆるハビタブルゾーン(液体の水が安定に存在する領域)は、氷天体地下圏を想定すると、大きく広がることになる。多様なパラメーターに基づく地下海の存在条件を明らかにするため、 (1)氷衛星の材料・起源・進化の理論研究、(2)高圧下の氷物性と融解条件の解明、(3)岩石水相互作用と塩類の供給の解明、(4)氷衛星地下海の検出精度の向上の研究を行うことを計画している。とくに、JUICEミッションのガニメデ観測を想定して、本研究から地下海検出のために必要な測地・重力精度を明らかにする。塩類を含む海の進化、塩類の分光測定、地下海のエネルギー環境、有機物については別班と協力して、生命を育む地下環境を明らかにする。太陽系外惑星では、主星の近くまで移動したHot Jupiterと呼ばれる天体が多く発見されている。衛星系が形成された後に、巨大惑星の軌道が内側に移動すると、氷衛星が水衛星となり、最後には散逸して岩石衛星になると考えられる。近年、太陽系の木星、土星は形成後に軌道が現在よりもかなり内側(1-2AU)まで移動したシナリオが考えられている。木星の衛星カリストのCO2の存在や未分化内部構造は、木星の軌道進化を制約づけるか、木星の衛星系の形成時期がかなり後であることを示唆することになる。