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[BBG21-01] 小笠原産ハマサンゴのB/Caおよびδ11B測定から明らかになる19世紀末以降の北西太平洋の海洋酸性化と石灰化への影響
キーワード:ホウ素, 小笠原, サンゴ, 石灰化, 海洋酸性化
サンゴ骨格のホウ素同位体(δ11B)は海水のpH計になることが知られている。海水pHは大気中の二酸化炭素分圧(pCO2)とも密接に関係していることから、地質時代のpCO2の推定への期待も高まっている。しかしながら、サンゴの石灰化作用がδ11B-pH関係に影響する可能性も指摘されており、その不確実性があまり深く評価されていない。これまでにδ11B-pH関係を評価したものはそのほとんどがpHを制御した飼育実験によるものであり、野外で採取された試料に対する評価は今のところグレートバリアリーフやグアム島などに限られている。そこで本研究では、北西太平洋に位置する小笠原諸島父島で採取された長尺の塊状ハマサンゴ骨格に対する過去125年間(AD1873-1998)のδ11BおよびB/Caの測定結果を報告する。δ11Bは産業革命以降の海洋酸性化の明瞭な傾向を捉えており、さらにその傾向から明らかになるサンゴの石灰化作用との関わりについて議論する。また測定が比較的簡便であることから近年注目を集めている、石灰化生物の炭酸塩骨格中のホウ素の含有量(B/Ca)がpH計として使えるかどうかについても同様に議論を行う。