日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-GM 地下圏微生物学

[B-GM22_30AM1] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2014年4月30日(水) 09:00 〜 10:45 415 (4F)

コンビーナ:*砂村 倫成(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、木庭 啓介(東京農工大学大学院農学研究院)、高井 研(海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター)、座長:布浦 拓郎(独立行政法人海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域)、濱村 奈津子(愛媛大学)

10:15 〜 10:30

[BGM22-05] 日本海溝横断調査から見えた海溝生命圏の成り立ち

*布浦 拓郎1平井 美穂1吉田 ゆかり1西澤 学1川口 慎介1牧田 寛子1宮崎 淳一1砂村 倫成2高井 研1 (1.海洋研究開発機構、2.東京大学理学部)

キーワード:日本海溝, 硝化

我々は、これまでにマリアナ海溝チャレンジャー海淵内の水塊中微生物相が海溝上に拡がる深層水海中の微生物相と著しく異なること、即ち、チャレンジャー海淵には、 “海溝生命圏”と呼ぶべき独自の微生物生態系が存在することを明らかにした(Nunoura et al. in preparation)。この水深10,000mを超えるチャレンジャー海淵は、表層での一次生産に乏しい熱帯の貧栄養水塊下に存在し、また、他の海溝から孤立する特徴を有す。それに対し、日本海溝は、最大水深は8,000m程度と比較的浅く、海洋表層での生物生産の大きな豊かな海域に存在し、また、北西太平洋の他の海溝とも連なる地形である。即ち、日本海溝は海溝生命圏の普遍性を検証し、更に海溝生命圏を支える要素を検討するに優れた条件を有していると言える。今回、我々は、東日本大地震後に行われた三度の緊急調査(MR11-03、YK11-E03、YK11-E04)にて海溝を横断する計8地点から採水し、海洋表層から海底までの水柱について微生物生態解析を行なって、海溝生命圏の普遍性、その成り立ちについて検討した。なお、一連の緊急調査においては、斜面崩壊由来の懸濁物に影響された深海水塊微生物相の変動が既に報告されている(Kawagucci et al. 2012)。