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[BGM22-05] 日本海溝横断調査から見えた海溝生命圏の成り立ち
キーワード:日本海溝, 硝化
我々は、これまでにマリアナ海溝チャレンジャー海淵内の水塊中微生物相が海溝上に拡がる深層水海中の微生物相と著しく異なること、即ち、チャレンジャー海淵には、 “海溝生命圏”と呼ぶべき独自の微生物生態系が存在することを明らかにした(Nunoura et al. in preparation)。この水深10,000mを超えるチャレンジャー海淵は、表層での一次生産に乏しい熱帯の貧栄養水塊下に存在し、また、他の海溝から孤立する特徴を有す。それに対し、日本海溝は、最大水深は8,000m程度と比較的浅く、海洋表層での生物生産の大きな豊かな海域に存在し、また、北西太平洋の他の海溝とも連なる地形である。即ち、日本海溝は海溝生命圏の普遍性を検証し、更に海溝生命圏を支える要素を検討するに優れた条件を有していると言える。今回、我々は、東日本大地震後に行われた三度の緊急調査(MR11-03、YK11-E03、YK11-E04)にて海溝を横断する計8地点から採水し、海洋表層から海底までの水柱について微生物生態解析を行なって、海溝生命圏の普遍性、その成り立ちについて検討した。なお、一連の緊急調査においては、斜面崩壊由来の懸濁物に影響された深海水塊微生物相の変動が既に報告されている(Kawagucci et al. 2012)。