日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT23_30AM2] 地球史解読:冥王代から現代まで

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 411 (4F)

コンビーナ:*小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、加藤 泰浩(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、鈴木 勝彦(独立行政法人海洋研究開発機構・地球内部ダイナミクス領域)、座長:古山 精史朗(九州大学)

11:15 〜 11:30

[BPT23-09] 原生代初期、ガーナベリミアン帯アキシムープリンセスタウン地域における海底層序復元1

*清川 昌一1伊藤 孝2Tetteh George M.3Nyame Frank K.4 (1.九州大学地球惑星科学部門、2.茨城大学 教育学部、3.ヌスタ鉱山工業大学、4.ガーナ大学)

キーワード:原生代初期, ベリミアングリーンストーン帯, 海底環境

古原生代ではGrate Oxidation Event や,ヒューロニアン氷河期(約23億年前)が報告され,急激で地球規模の気候/環境変動があったと考えられている(e.g. Holland, 1994, Kopp et al, 2005).しかし,これらの地質学的証拠は浅いプラットフォーム上の地層に残されたものであり,より深い海洋底における堆積環境については不明である.これは,原生代に入ると深い海を含む地層が衝突帯中に付加され,露頭分布が限られ,変形変成作用の影響を受けるため層序の復元などが難しいためである.我々は古原生代における比較的深い海の環境変遷を明らかにするために,変形/変成が少ない23?19億年前の地層が分布するガーナ,ベリミアン(Berimian)帯の堆積層について,地質調査により層序復元を行った。 調査地域であるベリミアン海岸グリーンストーン(BCG)帯は,22億年前の花崗岩と共に東西約10kmに渡って連続した地層が露出する。西部は蛇紋岩帯,東部には枕状溶岩が報告されており,原生代初期の海洋地殻断面が見られることが予想される.我々は,全体の地質構造の把握を行い,連続層序部分を明らかにし,代表的な地層における柱状図を作成および試料採取を行った.本地域は,東に傾斜した片理を持つ組織から数百mの西フェルゲンツであり,1カ所のみ非対称褶曲構造が識別できるが,基本的には東上位の変形の少ない地層が連続する.厚い火山岩砕屑岩から黒色頁岩からなり,地層中には斜交層理・級化層理などの堆積構造が残っており上下判定は可能である.また,変成鉱物として変成温度の低い緑色角閃岩類が広く確認でき,緑色片岩相を被っている地層は,実測で層厚1000m以上の厚い火山砕屑岩からなり,20-50m厚の上方細粒化層した火山砕屑層と黒色頁岩層の互層が挟まれており,上方ほど堆積層の頻度が増え,薄層化する.最下部はフェアミーなどが見られ溶結した組織が見られるため,陸上で噴火堆積した部分も考えられる.上方にむけて細かな平行葉理をもつタービダイト性火山岩や黒色頁岩が増加し深海化する.陸源物質はほとんど混入がなく,海洋性島弧の断面層序が残っている可能性を示す.黒色頁岩中に含まれる有機炭素の安定同位体組成はδ13C = ?43 ? ?37‰であった.当時の海底は有機物が沈殿し,分解できない嫌気的海域が広がっていたと考えられる.