日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT24_29AM2] 化学合成生態系の進化をめぐって

2014年4月29日(火) 11:00 〜 12:30 213 (2F)

コンビーナ:*ジェンキンズ ロバート(金沢大学理工研究域自然システム学系)、渡部 裕美(海洋研究開発機構)、延原 尊美(静岡大学教育学部理科教育講座地学教室)、間嶋 隆一(国立大学法人横浜国立大学教育人間科学部)、座長:渡部 裕美(海洋研究開発機構)、ジェンキンズ ロバート(金沢大学理工研究域自然システム学系)

11:15 〜 11:30

[BPT24-08] 殻形態から識別されたノチールシロウリガイの2形態型

*諸隈 暁俊1中島 礼2藤倉 克則3安間 了4間嶋 隆一1 (1.横浜国立大学、2.産業技術総合研究所、3.海洋研究開発機構、4.筑波大学)

キーワード:オトヒメハマグリ科, ノチールシロウリガイ, 殻形態, 穴状構造

ノチールシロウリガイCalyptogena (Ectenagena) nautilei Okutani and Métivier, 1986は,天竜海底谷の6個体を基に記載され,その後,熊野沖大陸斜面,第一南室戸海丘,銭洲海嶺及び潮岬海底谷から発見されている (Fujikura et al., 2000; Okutani et al., 2002; Kojima et al., 2004; Anma et al., 2010).Okutani et al. (2002) は,天竜海底谷,熊野沖大陸斜面及び第一南室戸海丘の個体を観察した結果,本種の殻の外形に多様性があることを示した.本研究では,模式標本及びOkutani et al. (2002) で観察された個体を含む複数産地の個体を観察した.その結果,殻形態と貝殻内表面の特徴により,2つの形態型に区別することが出来たので報告する.観察した標本は,天竜海底谷の完模式標本 MNHN 26983 (Nautile Dive KD-3),副模式標本 MNHN 26984 (Nautile Dive KD-5),副模式標本 MNHN 26985 (Nautile Dive KD-3) の3個体,熊野沖大陸斜面の4個体 (Shinkai 6500 Dive 615),潮岬海底谷の5個体 (Shinkai 6500 Dive 889, 890, 891),第一南室戸海丘の8個体 (KAIKO Dive 189, 192, 193) である.すべての個体について,光学顕微鏡及び肉眼で貝殻表面の観察を行った.潮岬海底谷の2個体については,SEMによる殻表面及び断面の観察も行った.形態型1は,天竜海底谷の個体,形態型2は熊野沖大陸斜面,第一南室戸海丘及び潮岬海底谷の個体に認められた.両形態型は貝殻内表面の構造により区別することができる.形態型1の内表面は平滑であるが,形態型2の内表面は直径約 61-548 μm の穴状構造をもつ.さらに,形態型1は,左右殻の鉸板に殻頂下洞をもち,右殻の鉸歯に殻頂下主歯の前歯をもち,套線が湾入することからも,形態型2と区別することができる.