日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT25_2PM1] 地球生命史

2014年5月2日(金) 14:15 〜 16:00 416 (4F)

コンビーナ:*本山 功(山形大学理学部地球環境学科)、生形 貴男(静岡大学理学部地球科学科)、座長:生形 貴男(静岡大学理学部地球科学科)、本山 功(山形大学理学部地球環境学科)

15:45 〜 16:00

[BPT25-P01_PG] その学名は適格か:白亜紀アンモナイト Polyptychoceras 属の命名法的検討

ポスター講演3分口頭発表枠

*生野 賢司1平野 弘道1 (1.早稲田大学)

キーワード:Polyptychoceras, 異常巻きアンモナイト, 学名, 国際動物命名規約, 白亜紀

生物の種類を表現する手段として学名が有効であることは,論を待たない.しかし命名規約に従って適切に学名を運用することは必ずしも容易ではなく,学名の混乱によって研究の客観性が損なわれてしまうことがある.
上部白亜系から産出する Polyptychoceras Yabe, 1927 は,クリップ状の殻形態が特徴的な異常巻きアンモナイトの 1 属である.本邦では P. pseudogaultinum (Yokoyama, 1890) 以来 12 種の産出が報告されている一方で,種分類を見直す必要性が指摘されている.しかし本属各種はそもそも,これまでに提唱されている学名に関して不明な点が多い.例えば,本属の 1 種 P. yubarense は Yabe (1927) が最初に提唱したことから,多くの文献で本種の著者と公表の日付が Yabe, 1927 とされてきた.ところが Yabe (1927) は本種の学名を掲載しているにすぎないため,本種の原記載論文にはあたらない(規約条 12.1).
そこで本研究では,最新の国際動物命名規約第 4 版(動物命名法国際審議会,2000)に基づいて,これら 12 種の学名を検討した.その結果,命名法上の適格性・著者・公表の日付・原記載論文が明らかになった.このことは,今後の分類学的研究に資するだけでなく,本属を扱った全ての研究の客観性を高めることにつながると考えられる.
なお,本予稿は動物命名法の目的のために発行するものではない(規約条 8.2 に基づく棄権宣言).

引用文献
動物命名法国際審議会, 2000, 国際動物命名規約第 4 版日本語版. 日本動物分類学関連学会連合, 札幌, XVIII + 133 p.
Yabe, H., 1927, The science reports of the Tôhoku Imperial University, 2nd series (geology), 11, 27-100.