日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT26_2AM1] 古代ゲノム学

2014年5月2日(金) 09:00 〜 10:45 421 (4F)

コンビーナ:*遠藤 一佳(東京大学大学院理学系研究科)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、座長:遠藤 一佳(東京大学大学院理学系研究科)

10:00 〜 10:15

[BPT26-05] マイクロシンテニーに注目した後生動物古代ゲノム情報の復元

*川島 武士1 (1.沖縄科学技術大学院大学)

キーワード:後生動物, ゲノム, マイクロシンテニー, 再構築

後生動物のゲノムが幅広く解読される事により、進化速度の比較的遅い動物同士を比較すれば、ゲノム上の遺伝子の並びが比較的よく保存されている事が分かってきた。たとえば2007年のPutnamらによる刺胞動物のゲノム配列と現生のヒトのゲノム配列の間に、わずかながら遺伝子配列の並びの保存性(Macrosynteny)を見いだしている。これは6億年以上前にこの2種の生物が分岐した事を考えると驚くべき事である。さらにその後、Irimiaらは、このように分岐後大きく隔たって保存されている遺伝子並びのうち、5’側を共有して並んでいる遺伝子同士は、遺伝子発現の制御領域を共有する事により、互いの並びを変更しにくいような拘束をうけているという仮説をたて、証明しつつある。発表者はこれら最近の遺伝子のならびの保存性研究の進展に注目し、古代ゲノムの復元に応用するためのツールとする事を考えている。具体的には、発表者が現在進めているヒメギボシムシとウニやナメクジウオなどのゲノムを比較する事で、水腔動物群の共通祖先や、新口動物群の共通祖先について、それ以降に共通に維持されている発生メカニズムを示唆するデータが得られてきている。