日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02_29PM1] 地球惑星科学のアウトリーチ

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 423 (4F)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、座長:千葉 崇(筑波大学生命環境系)

14:15 〜 14:30

[G02-01] 放送大学面接授業での地学野外実習の展開

*萩谷 宏1 (1.東京都市大学)

キーワード:野外実習, 放送大学, 生涯学習, 自然史

放送大学の面接授業において、野外実習を行う科目を複数提案し、これまで千葉、東京渋谷、東京多摩の各学習センターで実施した。科目名は「武蔵野台地の自然史」「武蔵野台地の自然史-多摩」「歩いて学ぶ房総半島の自然史」などである。受講者は放送大学の全科履修生及び選科履修生であり、20名程度に定員を設定して募集したところ、平均で4倍程度の応募があり、毎回、抽選によって参加者を限定して実施している。参加者の年齢層はおよそ半数が60歳以上の世代であり、8割程度が開催主体の学習センター近傍の住民である。受講には少額の保険加入が必須である。実施計画に当たっては、フィールド調査を専門とする、分野の異なる複数の専門家でチームを作り、地形と地質、気候変動と植物の分布など、自然界のなりたちをそれぞれの視点から解説し自然界のしくみを重層的に理解できるよう工夫している。放送大学の学生は、大学卒業資格を得るために20科目以上の面接授業の受講が義務づけられており、一般に学習意欲が高い。また、野外実習に関心が高い、戦後のハイキング・登山ブームの世代が受講者の年齢層分布に反映しているものと思われる。複数の講義担当者の分野が異なることで、特定の分野に詳しい受講者にも新たな視点や知識を提供することになり、その点でも受講者の満足度が高い実習となっている。これまでも一般向けの地質観察会や普及講演会が各地で実施され、ジオパークも近年盛り上がりを見せ認知度が上がってきているが、最初から地球科学に興味を持っている層だけでなく、他の専攻分野を学んでいる学生が地球科学に触れる機会をつくるという意味で、放送大学の面接授業での野外実習を、地球科学の専門家が参加して実施することには、意義が大きいと思われる。放送大学の各学習センターにおいても、基本的にこれらの実習科目が歓迎されていることから、今後、各地のジオパークとの連携、あるいは一般の大学の学生実習と合同での実施など、より広く学びの場を広げていくことを提案したい。このことは学習に意欲的な放送大学の学生へのサービス向上というだけでなく、他の参加者にも刺激となり、良い方向への影響が期待できると考える。