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[G02-04] 教材としてのGANSEKI: 深海底岩石サンプルデータベースの利用法
キーワード:岩石サンプル, キュレーション, オンライン・データベース, アウトリーチ, 海洋地質学
海洋研究開発機構(JAMSTEC)の船舶の観測航海で得られたデータやサンプルは,JAMSTECのデータ・サンプル取扱いに関する基本方針[1]に基づき,人類の共有財産として,研究・教育等を目的とした二次利用のために保管・提供されている.乗船研究者らが優先使用できる公開猶予期間2年を過ぎたデータ・サンプルについての情報は,JAMSTECの各種データサイトを通して公開され,国内外の研究・教育や,報道・広報企画などで活用することが出来る.JAMSTECの観測船では毎年数百個の岩石サンプルを深海底から採取しており,これら岩石サンプルやその関連データも,公開の対象である.岩石サンプルの採取情報や関連データは,ウェブサイト「深海底岩石サンプルデータベース(GANSEKI) [2]」を通してアクセスすることが出来る.現在,GANSEKIには,約9,000件の利用可能な岩石サンプルを含む,19,800件超の岩石サンプルの情報,およびJAMSTEC内外の岩石サンプルに関する分析データや文献データなどが掲載されている.GANSEKIには 2013 年度に大幅な改修が加えられ,その後も引き続き細部のチューニングやデータ整備が施されており,一部の専門家だけでなく一般の教育関係者や学生にも魅力的な環境が整って来た.多様な条件での絞り込みが可能な検索システムの導入により,様々な目的を持ったユーザーに対応することが出来るようになり,サンプル画像や薄片画像などの閲覧性の向上により,視覚的な情報を活かした操作も可能になった.JAMSTECは,GANSEKI以外にも複数のデータサイトを運用しており,それぞれのサイトが連携し合うことで,より効果的なデータの活用を支援している.ユーザーはGANSEKIと「航海・潜航データ探索システム(DARWIN)[3]」の間を行き来しながら,GANSEKIにある各岩石サンプルの情報や,そのサンプルに関連する航海・潜航情報や物理観測データ,航海報告書(クルーズレポート),文献情報などを収集することが出来る.また,GANSEKIの各岩石サンプルの情報は,「深海映像・画像アーカイブス(J-EDI)[4]」の潜水船カメラ映像にもリンクしており,興味あるサンプルの採取シーンや周辺地質の映像の閲覧を快適に行うことが出来る.GANSEKIのユーザーが乗船研究者と同等の,充実した関連情報をオンラインで閲覧できるようになったことで,二次利用者であることの不利な点は少なくなり,より実践的な研究・教育が可能となった.岩石学・鉱物学的な研究素材・教育素材としての利用は当然ながら,先端的な海洋地質学の研究現場を窺い知る教材,観測データの取扱いやオンラインデータベースのケーススタディなど,様々な形での利用が考えられる.参考: [1] 「データ・サンプルの取り扱いに関する基本方針」 http://www.jamstec.go.jp/j/database/data_policy.html. [2] 「深海底岩石サンプルデータベース(GANSEKI)」 http://www.godac.jamstec.go.jp/ganseki/j. [3] 「JAMSTEC航海・潜航データ探索システム(DARWIN)」 http://www.godac.jamstec.go.jp/darwin/j. [4] 「JAMSTEC深海映像・画像アーカイブス(J-EDI)」http://www.godac.jamstec.go.jp/jedi/j.