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[G02-06] ヒマラヤにおける防災教育I:自立的アクターを育むためのプログラム・デザイン
キーワード:防災教育, 国際協力, ハザードマップ作り, ワークショップ
災害時に、自ら行動して命を救う力は、どのように育めばいいのでしょうか。一人ひとりが自主的に災害に備える力は、どうすれば効果的に育むことができるのでしょうか。 これまで、科学者は、最新の地震学の研究成果をわかりやすく一般の人々に伝えるというアプローチでこれを実現しようとしてきました。しかしながら、知識の伝達だけでは人々の行動変容をもたらす十分な影響力をもたないことがわかってきました(大木・中谷内, 2012)。一方、実践者は、職場や学校での防災訓練を行うことでこれを実現しようとしてきました。しかし、一人ひとりが災害時の状況判断を自らの力で行い、柔軟に行動する力がなければ、そうした防災訓練は命を守るには十分ではない、ということが東日本大震災における多くの尊い命の犠牲とともに明らかになりました。 防災の知識と実践を橋渡しし、命を守るための防災教育が求められています。私たちの試みは、東北の釜石市で児童生徒がほとんど助かった事例を参考にしつつ、地理的・社会的・経済的・文化的背景の異なる地域においても応用できる、効果的な防災教育プログラムをデザインすることです。 鍵となるコンセプトは、「コミュニティに根ざした災害リスクの理解」を通じた自分事化、それを出発点として「自立的に防災に取り組む力」を育む教育です。このような取り組みのためには、地震学・地理学・コミュニティ開発・教育・心理学などの理論・知見を分野横断的に取り込みつつ、多様な専門分野・文化領域・世代を超えて協力・恊働していくことが不可欠です。 本稿は、インド・日本恊働プロジェクト^の元で実施した、インド北部ヒマラヤ地帯における中高生向け地震防災ワークショップをどのような意図でデザインしたかを紹介し、その成果・教訓を共有することを目的とするものです。^自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究 (DISANET) http://disanet.interliteracy.info/about/?lang=ja