日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02_29PM2] 地球惑星科学のアウトリーチ

2014年4月29日(火) 16:15 〜 18:00 423 (4F)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、座長:芝原 暁彦(独立行政法人 産業技術総合研究所  地質標本館 企画運営グループ)

16:30 〜 16:45

[G02-P13_PG] 「地震の音を聞いてみよう!」-広報イベントにおける可聴化地震波の体験

ポスター講演3分口頭発表枠

*林 豊1 (1.気象研究所)

キーワード:教育ソフトウェア, 地震の多様性, 地震波の可聴化, 小学生, パワーポイント

つくば市の気象研究所では、学校の夏休み期間中の平日一日に、「お天気フェアつくば」と題した広報イベントを毎年実施している。来場者はつくば市または隣接市から来る小学生と母親のグループが多く、毎回2,3千名に達する。研究所にとっては、業務内容の情報発信に加えて、気象・地震などの知識を広く普及する機会となっている。この広報イベントのために、メニューから選んだ地震の音を聞ける聞かせるエデュテインメント「地震の音を聞いてみよう!」(林・高山,2009;験震時報)を制作した。その実体はMicrosoft PowerPoint(R)のプレゼンテーションファイルであり、スライドショーとアニメーション機能でインタラクティブな操作環境を実現している。従って、制作者以外の技術者でも修正を加えることが容易である。
コンテンツである地震の音は、実測された地震波形の時系列データを大気中に伝わる粗密波へ見立てて、周波数が人の可聴域になるように10~1000倍に早送りする方法でWAVE形式に変換したものである。物理の厳密な正確性は犠牲にしているが、変調をかけずに音源のスケーリング則を守った変換をしており、音の高さ・強弱・音色の違いから音源の質感を想像できる仕組みになっている。これは、発生の仕組みが異なる多様な地震の存在を知ってもらう意図だからである。なお、同じ方法で変換して作った音は、2013年のNHKのテレビ番組「Megaquake III」でも深部低周波地震の説明に使われた。
「地震の音を聞いてみよう!」を用いたアトラクションは、2007年から毎年「お天気フェアつくば」に出展されてきた。来場者数が年々増加するためと、3名一組のグループ(母と子2人など)が多いことへの対応から、一台のPCから分岐して3台のヘッドホンで同時に楽しめる方法で展示されている。また、大地震の発生に伴って音も時々入れ替えてきた。
工夫を重ねてきたが、残された問題もある。一つは、45秒程度の体験時間では、エデュテインメントの制作者が教えたい地震の多様性を感じ取れる小学生はほとんどおらず、単に楽しんで終わりであること。二つ目は、マウスを使って画面上のメニューを選ぶ操作が、スマートフォンとタブレット世代の子供たちには、もはや優しいインターフェイスとは言い難いこと。最後に、国際都市であるつくばでは、多言語対応が好ましいことである。
大会では、実際に「地震の音を聞いてみよう!」を体験していただき、改良すべき点や新たな活用の可能性について議論したい。