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[G04-10] 透明半球とスリンキーバネで構成する教材用震源モデル
キーワード:震源球, P波初動, 地震メカニズム, 断層, スリンキーバネ
高校地学の教科書には,地震のP波初動の押し引きが4象限分布を示し,これが震源メカニズム(震源断層)と関係すると書かれている.しかしそのメカニズムの詳細は示されていない.多くの地震学の専門書にはこれに関する大変詳しい解説がかなり難解な数学を用いてなされているが,それが一般の人々に理解されるとは到底思えない.そこで高校生や一般の人にもわかりやすい,地震を引き起こした断層のズレ破壊と,その結果生じるP波初動との関係を示す,安価で組立が簡単なアナログモデルを試作したので,教材としての利用の可能性を考えてみたい.モデルは素材屋(東急ハンズなど)で入手可能な,1) 樹脂製の透明半球(直径約12cm)2個 2)長方形アクリル板(ずれる断層に相当,約14cm×16cm,厚さ3mm)2枚3)その半球にテープで接着した,スリンキーバネ左右2本ずつ,計4本(百円均一で買えるプラスティック製バネで代用可能)で構成した.互いに接触する透明アクリル板2枚が既存の断層をモデル化して,この断層が急にずれることで地震が発生するとする.2枚のアクリル板に接着した透明半球から左右に2本ずつのびたスリンキーバネは,その断層のずれから周囲に伝わる地震波を表示する.断層を一気にずらすと,透明半球に接着されたバネが一斉に振動するがそのときバネに伝わる振動のうち,バネの縦方向に伝わるP波を,肉眼あるいは高速度撮影した動画から観察する.断層を1つの節線とする4象限方向に押しと引きの2種類の初動が対称的に伝わる様子がかろうじて観察できる.講演ではこの初動の伝わる様子をできるだけわかりやすく観察する工夫についても紹介したい.