日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG38_29AM2] 惑星と閉鎖生態系における生物のシステム―微生物からヒトまで

2014年4月29日(火) 11:00 〜 12:45 424 (4F)

コンビーナ:*富田ー横谷 香織(筑波大学大学院生命環境科学研究科)、小島 洋志(なし)、座長:富田ー横谷 香織(筑波大学大学院生命環境科学研究科)

12:00 〜 12:15

[HCG38-05] 有人宇宙探査のための閉鎖系生命維持システムの研究

*桜井 誠人1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:生命維持技術, 有人宇宙探査, 空気再生, 微小重力, 閉鎖環境, 水電解

JAXAでは「人間が、より長く、遠くに滞在するために乗り越えなくてはならない技術」を見極め、進展させることにより我が国の存在感を国際的な宇宙開発協力の中で発揮できることを目指している。現在運用中の国際宇宙ステーション(ISS)は2020年までは運用が延長される。宇宙船内における空気再生および水再生は日本の得意とする環境技術を駆使できるので優先順位の高い開発課題となっている。 キャビンエアーのCO2は、メンブレンドライヤーを用いて湿度低減した後、吸着塔に導入される。吸着塔ではゼオライト5AによってCO2のみが選択的に吸着され温度スィングによって吸着脱着が行われる。1人分のCO2が処理できるよう90L/minにて4000ppmのCO2を入力し、一日に1kgのCO2を除去できるように設計した。宇宙船内のCO2濃度は4000-7000ppm程度である。水電解の反応は非常にシンプルである。しかしながら、微小重力環境場で水電解する場合、気液分離などの補器が必要となる。そこでJAXAが製作に取り組んでいるのが、カソード側で水を循環させる水電解システムである。膜のアノード側で発生したO2は多量の水に晒されることがないので、発生後の気液分離は不要となると考えられている。 水電解後はH2と循環水が混相流となっている。JAXAでは、膜による分離手法を現在検討している。水電解セルで発生したH2は、混相流となり膜式気液分離器へと送られる。膜式気液分離器は疎水膜と親水膜とを向い合せに配置し、疎水膜からH2、親水膜から水が流れ出る事で、H2ガスと水を分離する仕組みとなっている。システム全体の評価は重力方向テストスタンドを用いて行う。 将来の有人宇宙活動を支える循環型空気再生システムの構築を目指し、JAXAではシステムの簡素化に資する新しい水電解方式の採用等、様々な要素技術の高度化に取り組んでいる。今後、各要素技術およびインターフェイスの高度化により、宇宙実証に向けたシステム構築に臨む計画である。