日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS27_1AM1] 津波とその予測

2014年5月1日(木) 09:00 〜 10:45 418 (4F)

コンビーナ:*林 豊(気象研究所)、Mas Erick(International Research Institute of Disaster Science)、馬場 俊孝(海洋研究開発機構)、座長:Mas Erick(International Research Institute of Disaster Science)、岡田 正実(気象庁気象研究所)

09:45 〜 10:00

[HDS27-04] チリで反射して日本で観測された津波-2011年東北地方太平洋沖地震津波

*岡田 正実1阿部 邦昭2林 豊1 (1.気象研究所地震火山研究部、2.なし)

キーワード:津波, チリ, 日本, 反射波, 2011津波

はじめに:2011年東北地方太平洋沖地震津波は太平洋を横断して、南米チリの検潮所で観測されたことがNOAAによって報告されている。チリの海岸線は長大で、反射波はかなり強い指向性を持って、日本の方向へ向かうことになる。そこでチリからの反射波が日本で観測されているのではないかと考え、調べたので報告する。方法:反射波の確認は予測される時刻に振幅の大きな波が見出されることで行われる。往路伝播時間は、地震発生からチリのタルカーノの記録で第1波引き波とそれに続く顕著な2つの押し波の開始までの時間とした。復路は1960年チリ津波が大陸で反射してから日本に到達するまでの時間であるが、大陸反射波の始まりは、日本の検潮記録で第1波に続く時間で、反転波形の始まりの部分とした。これはチリ津波の波源が海岸を含む陸棚にあり、タルカーノが1960年チリ津波の波源域内であり、かつ反射点であったことを想定している。結果:往路の伝播時間を表す、タルカーノの第1、2、3波の走時はそれぞれ22.8、23.6、24.8時間である。復路は、1960年チリ津波の走時から串本で23.1時間、尾鷲で24.5時間である。2011年の津波で、串本と尾鷲で観測される反射波は、2つの伝播時間の和である。第1波は振幅が小さく確認できないので、第2、3波の反射波の到来時刻を図1に示す。串本の場合、46.7、47.9時間、尾鷲の場合、48.1、49.3時間である。観測された波形で、第2波から第3波の予想到達時刻で振幅が増加しているのが確認できる。串本のこの部分の波形はタルカーノの波形に類似している。これらの事実からこの振幅の変化はチリの反射波である考えられる。この部分の振幅変化は、それ以前のものに比べて小さいが、2点でほぼ同時に振幅の増加が観測されており、反射波であることを支持するものである。