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[HDS27-11] 即時CMT解を利用した東南アジアの即時津波解析システム
キーワード:CMT, 津波, 即時解析
インドネシア・フィリピン近海では多くの地震が発生している。防災科学技術研究所では、BMKG(インドネシア)、PHIVOLCS(フィリピン)、GFZ(ドイツ)などとともに、インドネシア・フィリピン陸域において、多数の(数十km 間隔)広帯域地震計により、地震活動のリアルタイムモニタリングを行っており、地震発生とともに自動解析(SWIFT システム(Nakano et al. 2008))により、震源・CMT 解を即時推定している。特に、巨大地震の際には、地震動に加え津波がさらなる脅威となるため、即時的な津波解析・予測が強く望まれる。我々は、東南アジア領域における即時津波解析・予測システムを構築している(稲津ほか2013地震学会)。現時点で、以下の一連のシミュレーション・可視化をまとめて実行するシステムとなっている(1~4)。解析・予測の枠組みは、基本的に、地震波観測データからCMT解を即時推定し、その解に基づき矩形断層モデルで津波の初期値を与え、その伝播を数値的差分法によって積分するものである。1)SWIFTシステムにより、CMT推定解の基本情報(時刻、震源、Mw、メカニズムなど)を得る。2)Mwに応じ、スケーリング則から矩形断層の幅・長さ・すべり量を与える。津波予測のばらつきの観点から、異なるスケーリング則を用い、複数の断層パラメータを得る。ここでは、あるMwに対し、すべり量が大きい・小さい(つまり、断層面積が狭い・広い)の2種類のパラメータを準備する。3)ダブルカップルに基づき、メカニズムは2種類の候補が挙げられるので、2種類のスケーリング則を用いれば、津波初期値として4通りの候補を得る。Okada(1985)に基づき、これら4通りのパラメータそれぞれについて地表変位を計算する。この際、鉛直変位のみでなく、水平変位と海底傾斜の積に基づく海水上下変位、および、震央周辺の水深に関係する水平短波長減衰効果も考慮し、津波(海水位)の初期値を与えられるようにした。4)4通りの初期値に基づき、それぞれ伝播シミュレーション(たとえば、線形長波モデル)を実施する。シミュレーションとともに、時刻ごとの津波高の領域マップと予め指定した点における津波時系列の可視化を行う。また、シミュレーションが適当な積分時刻まで終わったとき、その都度、最大津波高の領域マップ・沿岸近傍でのグラフなども可視化する。発表では、具体的な津波事例において、上記の作業で作成した図・動画などを紹介する。