日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS28_1PM2] アジア太平洋地域の地震・津波・火山噴火ハザードとリスク

2014年5月1日(木) 16:15 〜 17:45 312 (3F)

コンビーナ:*宝田 晋治(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、小泉 尚嗣(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、桑原 保人(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、石川 有三(独立行政法人 産業技術研究所 活断層・地震研究センター)、高田 亮(産業技術総合研究所 地質情報研究部門)、古川 竜太(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、重松 紀生(独立行政法人産業技術総合研究所活断層・地震研究センター)、丸山 正(文部科学省研究開発局地震・防災研究課)、座長:宝田 晋治(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、石川 有三(独立行政法人 産業技術研究所 活断層・地震研究センター)

16:15 〜 16:30

[HDS28-01] 2011年東日本大震災の被災地企業アンケートデータから作成した産業の地震・津波フラジリティ曲線

*桑原 保人1長谷川 功1吉見 雅行1行谷 佑一1堀川 晴央1中井 未里1増田 聡2 (1.産総研 活断層・地震研究センター、2.東北大学大学院経済研究科)

キーワード:地震, 津波, 産業, フラジリティーカーブ, 2011年東日本大震災

今後の地震・津波災害を想定し、これに備えるため、東日本大震災の被災地企業アンケートデータから産業の地震・津波フラジリティ曲線を作成した。本アンケートは東北大学大学院経済学研究科・震災復興研究センターの地域産業復興調査研究プロジェクトの一環として行われたものであり、企業の被害データ数はおよそ7,000である。ここでは、事業所の揺れや津波による直接被害の程度(直接被害率)を表す指標を、(有形固定資産被害額)/(有形固定資産)で定義した。各事業所位置での計測震度は、産総研のQuiQuakeシステムの結果を利用した。津波浸水深については、2011年東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループの結果を利用し、実際の調査データを補間することによってデータの無い場所の値を推定した。これらのデータを用い、横軸に計測震度または津波浸水深、縦軸に事業所の直接被害率を取り、産業のフラジリティ曲線を得ることができた。曲線は、震度、浸水深の増加とともに被害率も高くなり傾向を示し、一般家屋で通常用いられるフラジリティ曲線と同様の傾向である。さらに、被害率の大きさを大・中・小・ゼロに区分し、各被害率区分の頻度と計測震度・浸水深の関係を調べたところ、この関係は二項分布に従う確率モデルでよく説明できることがわかった。二項分布を規定するパラメターは、各震度での直接被害率の平均値のみであり、非常に単純なモデルで被害率の分布が推定可能であることを示す。以上の結果は、今後の巨大地震による産業の被害想定に有効であり、また、実際の地震直後の被害推定にも利用できる。