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[HDS30-06] 南海トラフ上部陸側斜面に発達する地すべり層の流動過程, IODP Expedition 333 Site C0018
キーワード:海底地すべり, ナントロスライド, IODP, 南海トラフ
IODP Expedition 333により、地震発生と海底地すべりとの関係を理解するためNanTroSLIDE projectとして、Site C0018において314.2mbsfまで掘削をおこない6層の海底地すべり層(MTD1?MTD6)が掘削された。127-189mbsfに最も厚い海底地すべり層があり(MTD6)、直上の広域テフラの噴出年代から、この地すべりはおよそ100万年前に起こったと推定される。この厚い地すべり層の上位では,比較的規模が小さな海底地すべり層と均質な粘土層が交互に堆積している。海底地すべり層で採取されたコアは著しく変形しており、海底地すべり滑動時の様々な変形構造が記録されていた。一連の地すべり層の下位(189m以深)では、タービダイト層が繰り返し堆積しており、海底地すべり発生時に堆積物の供給に劇的な変化が起こったことを示唆している。各海底地すべり層の流動変形過程を特徴づけるため、帯磁率異方性による粒子配列の測定を行った。各層のその特性は均一でなく、各層の中で、異なるシーアーが発達し、流動から堆積するまでの過程を記録していると考えられる。多くの場合、地すべりユニットの上部は一部の岩相に無秩序層が認められるにもかかわらず、水平面に平行な磁気フォリエーションが認められ、下部にゆくほどシンプルシアーまたはピュアーシアーによる異方性が増す。一方、最大の層厚をもつMTD6では、大きく褶曲を繰り返すような構造の粒子配列が認められる。古地磁気で復元可能なシーアーの方向を復元したところ、2方向が得られ、これは地すべり層が供給された方向と考えられる。こういった地すべり流動の形態や供給方向の違いは、分岐断層を含む南海トラフ陸側斜面の発達過程が反映されていると考えられる。