日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01_29PM1] International comparison of landscape appreciation

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 424 (4F)

コンビーナ:*水上 象吾(佛教大学社会学部公共政策学科)、座長:Rupprecht Christoph(Griffith School of Environment, Griffith University)、高山 範理(独立行政法人 森林総合研究所)

15:30 〜 15:45

[HGG01-05] Informal urban greenspace(非公式緑地):札幌とブリスベンの住民の利用・評価の理由の模索

*Rupprecht Christoph1 (1.エンバイロンメンタル・フューチャー研究所)

キーワード:都市地理学, レクリエーション, ワイルドスケープ, 都市計画, 自然らしさ, spontaneous vegetation

I空き地、道路や線路の端、川岸といった非公式緑地(IGS, informal greenspace)は都市のレクリエーションと風景の研究における重要な新しい話題である。去年のJpGU2013で、札幌とブリスベンの住民が大人の今も、子供時代にもIGSを利用・評価したことを発表した。しかし、以下の二つの重要な疑問が残ったままである:1)公園等の公式緑地と比較すると、IGSは住民にとってどのような役割を持つのか?、2)なぜブリスベンの回答者は札幌の回答者よりIGSを高く評価したのか?この発表ではその質問への考えうる説明を紹介する。最初の質問に答えるため、GIS分析で調査範囲の500m以内の公式緑地量を計った。IGS利用と公式緑地面積の間に負の相関関係があるならば、IGSが公園の代わりに利用されることが考えられる。しかし、分析の結果では相関関係がなかった。これは住民が意図的にIGSの利用を選ぶことという説明が考えられるだろう。すなわち、IGSは住民のレクリエーションにとって公式緑地と異なる独特な役割を持っていることが考えられる。しかし、札幌の回答者はIGSは日常生活に良くも悪くも影響すると回答した一方で、ブリスベンの回答者はIGSは日常生活に良い影響があるとしたのがほとんどだったのはなぜだろうか?そのIGS評価の違いの理由を模索するために、両方の都市のIGS量・植生構造・アクセス可能性を計った。さらに、IGSの種類(空地、道路の端、工場跡地、線路の端、すき間、川岸等)を登録した。IGSのアクセス可能性は三つのレベルに分けた(可能、部分的可能、不可能)。植生構造は四つの階層で計った(木、低木、草本、芝生)。その結果、IGSが両方の都市で予想より多くの都市面積を占める(計った全面積の?5%)が、都市のIGSの種類と植生構造が都市間で異なることが分かった。住民調査とIGS量調査の結果を分析し分かったIGS種類と植生構造の違いが、両都市住民のIGS評価の違いを説明しうると考えられる。さらに、住民のIGS評価の理由が分かれば、IGSのレクリエーション可能性を解き放つことができるかもしれない。