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[HGG21-03] 中国内蒙古における農民専業合作社の展開と地域資源の利用
本報告は、これまで牧畜を主たる生業としてきた錫林郭勒盟における、農民専業合作社形式で成立した牛の干肉販売を中心とする地域的な取り組みである。農民専業合作社は、これも前述した伊利や蒙牛などの酪農巨大企業、すなわち「龍頭企業」とともに地域経済の牽引役として2007年から制度化された新たな協同組合である。前者は、農牧民を垂直的に統合しつつ地域経済をリードし、後者は農牧民の共同により生産から流通までを合理化し、農牧民の利益拡大をはかる役割を担うものである。本報告で取り上げる、ボルガンソムのバインデルゲルガチャの牧民25世帯によって運営されている合作社は、2009年に30万元の補助を政府より獲得し設立された。この地域の秋冬にかけての名産品であり、空港などでの土産物としても需要の多い牛の干し肉を自ら生産し、それを地域の中心都市である錫林浩特市に設けた店舗で販売するのがこの合作社の設立目的である。合作社の経営陣はじめ店舗の従業員も当該ガチャの出身者からなり、この合作社が食品の加工・販売免許および商標を申請登録しており、毎年の利益の90%は出資した世帯に均等配分するとともに10%は合作社の資本に組み入れるというのが基本的な事業スキームである。本報告では、設立からの経営プロセスと資源利用の関係について論じたい。