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[HGG21-04] 流域内土砂収支を社会経済の文脈で読み込む:ミャンマー国インレー湖の土砂堆積の管理へ向けて
キーワード:土砂堆積, 土砂収支, 社会経済調査, インレー湖, ミャンマー
途上国における土壌浸食や土砂堆積の研究では、土砂移動に関するメカニズムや速度を定量的に捕らえると共に、それらの影響を客観的に論証することが科学者には求められている。面積約3,800km2のミャンマー国インレー湖流域は、経済、環境、文化など諸面において重要性が認識され、同流域での土壌浸食や土砂堆積は、地域レベル、国レベルでの課題となっている。このインレー湖流域に関し、特に流域内の様々な堆積環境での異なる堆積速度に注目し、土砂収支を構築した。構築された土砂収支からは、湖域へ運搬される土砂の半分以上がデルタに堆積すること、また絶対量としては少量ながら単位面積当たりの堆積速度は河口部において最大であることが明らかになった。一方、流域内における社会経済調査からは、土砂堆積の影響に対する多様な見方が見出された。しかし多様な見方の中でも、水上交通に対する負の影響については、農民や非農民など複数の異なる利害関係者が共通に重要な問題であると認識している。土砂堆積の管理へ向けた対策案では、従って水上交通に最も支障が出ている河口部に優先順位を置くことを強調した。<文献>Furuichi,T., Wasson, R.J., 2011. Placing sediment budgets in the socio-economic context for management of sedimentation in Lake Inle, Myanmar (Burma). In: Sediment Problems and Sediment Management in Asian River Basins (ed. Walling, D.E.), IAHS Red Book 349, 103-113.