18:15 〜 19:30
[HGM22-P01] セン川下流域における現成チャネル堆積物の累重様式
キーワード:沖積平野, メアンダー, モンスーン, 水位変化, トンレサップ湖, カンボジア
カンボジア中央部を流下するセン川はトンレサップ水系最大の支流であり、沖積低地発達区間である下流域の河川勾配は0.1‰以下と非常に緩い。モンスーンによる降水量の変動によって低地には毎年洪水が訪れるとともに、侵食基準面であるトンレサップ湖の水位が周期的に8 m程度変化することから、セン川による土砂運搬プロセスも季節によって変化すると考えられる。調査地付近のセン川は、沖積低地を蛇行しながら流下し、河道位置の遷移を示すメアンダーベルトや後背湿地を形成してきた(Nagumo et al., 2013)。チャネル底は後背湿地面よりも10 m近く低い位置にあり、チャネル内部の屈曲部には、乾季の水位低下に伴って4種類の特徴的な形態を有するチャネルバーが出現する。これらのうち、下流側の凹状河岸に出現するバーに関して断面を観察した結果、全体として逆級化を示す砂泥互層が観察された。さらに、堆積物中に狭在するプラスチック片に刻印された製造日が調査時より数年以内にあることから、これらの堆積物はごく最近堆積したものであり、洪水レジームの変化に応答して、部分的に入れ替わっていることが示唆された。チャネルバーでみられるこうした堆積物の特徴は、雨季-乾季の年周期よりも短い周期で起こる河川水位・流量の変動に応答してバーが形成されたことを示唆しており、近年の洪水履歴やそのパターンの把握に重要な情報となり得る。