日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22_30PO1] 地形

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学・地圏科学研究センター)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

18:15 〜 19:30

[HGM22-P07] 西ネパールカリガンダキ川流域の地形発達史からみた下刻速度推定方法の検証

*吉田 崇博1菅沼 悠介2前杢 英明3 (1.総合研究大学院大学、2.国立極地研究所、3.法政大学)

キーワード:Himaraya, Geomorphology, Kaligandaki, Fuluvial terrace

長期スケールの山地・山脈の隆起過程を推定は,一般に流域の河成段丘面を同時間面として対比し,それらの高度から河川の下刻削剥速度を決定することで求められている.しかし,これらの河成段丘面の対比は,流域の堆積物供給環境が同一であるという仮定したものであり,もしこの仮定が成り立たない場合には隆起過程を求めることは出来ない.
そこで本研究では,ネパールのKaligandaki流域の上~中流において,河成段丘面の空中写真判読と詳細な現地調査を行った.特に,現地調査では段丘を構成する堆積物を詳細に観察・記載し,堆積過程および環境を復元した.この結果に基づくと,従来河成段丘として中流域と対比されていたKaligandaki上流の段丘面は,3つ以上の時代の異なる氷河性堆積物から構成されていることが分かった.つまり,これらの段丘面は局所的な環境を反映したものであり,中流域に分布する河川堆積物から成る段丘面とは対比できないこと事がわかった.
 以上のことは,Kaligandak上から中流域に分布する河成段丘は,それぞれ堆積環境が異なり,段丘面の対比を用いた削剥速度の推定には適さないことを示す.また,河川の削剥速度が基づき高ヒマラヤの隆起速度が大きいとされていた従来の解釈は,堆積物が供給されないため相対的に基盤が浸食されている効果を含んでいる能性がある.