日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR23_1PO1] ヒト-環境系の時系列ダイナミクス

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*宮内 崇裕(千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻地球科学コース)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、吾妻 崇(独立行政法人産業技術総合研究所活断層・地震研究センター)、小野 昭(明治大学黒曜石研究センター)

18:15 〜 19:30

[HQR23-P07] 東京湾におけるカキ礁の形成過程と珪藻群集

*野口 真利江1遠藤 邦彦2鹿島 薫1 (1.九州大学大学院理学府、2.日本大学)

キーワード:東京湾, カキ礁, 珪藻

現在、東京湾の各所でカキ礁やカキの小群生(コロニー)が確認されている。カキ礁は、その形成発達時の環境などによって、タフォノミーの観点からコロニーの産状がタイプ別に分類されている(横山,2004)。しかしタイプごとのベントス調査や珪藻群集に関する記載は少なく、情報が乏しい。また東京低地を含む関東平野の沖積層の成り立ちを検討する上で、カキ礁の形成は重要な意味を持つが、沖積層の研究の中で発見された化石カキ礁のタイプについて記載されたものも少ない。
そこで本研究では、東京湾の北部沿岸、江戸川河口近くの三番瀬とよばれる沿岸部に発達している現生カキ礁に注目した。三番瀬のカキ礁は、満潮時に水面下に没するが、大潮の干潮時には全面的に露出し、マガキのリレー戦略(鎮西,1982)を目にすることができるタイプのカキ礁である。このカキ礁は急成長したことで、一時期世間の注目を集めたが、ここ数年では集中豪雨や台風などによる江戸川河口域からの放水などにより、縮小傾向にある(遠藤ほか,2013など)。この拡大縮小の様子は、2008年から観測され続けているが(野口ほか,未公表)、経年変化をまとめた論文などはまだ発表されていない。そこで本研究では、今までの観測の記録をまとめて、カキ礁のタイプの一例として報告するとともに、現地調査時に採取した珪藻用試料の分析結果を報告する。カキ礁のタイプの一例を明らかにするとともに、ここで出現する珪藻群集を明らかに出来れば、今後の沖積層研究に大きく貢献出来ると期待される。さらに、比較研究として、羽田沖コアから発見された化石カキ礁の珪藻分析結果(小杉ほか,未公表)をまとめ、三番瀬の現生カキ礁の珪藻群集組成と合わせて報告する予定である。