日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC25_30AM2] 人間環境と災害リスク

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 421 (4F)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、鈴木 康弘(名古屋大学)、小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、宇根 寛(国土地理院)、中村 洋一(宇都宮大学教育学部地学教室)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、原 慶太郎(東京情報大学総合情報学部)、座長:小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)

11:15 〜 11:30

[HSC25-07] 赤色立体地図でみる伊豆大島の地形と自然災害

*千葉 達朗1 (1.アジア航測株式会社)

キーワード:伊豆大島, DEM, 赤色立体地図, 溶岩流, レーザ計測, 表層崩壊

■はじめに近年、航空レーザ計測技術の進歩により、樹木の影響を排除した高精度の詳細地形データが得られるようになった。これまでの空中写真測量による等高線では、樹木の下の地形は樹高を想定したオペレーターの推定によるものであり、レーザ計測との違いは明らかであった。しかしながら、このような微地形計測成果の全容を利活用しやすい中縮尺で表現するのは難しく、等高線図も陰影図も高度段彩図も適切ではなかった。千葉は、2002年に富士山の青木ヶ原樹海の地形踏査の際に赤色立体地図作成法を考案した。その後、各地の火山地形の判読や現地調査に利用してきた。■赤色立体地図赤色立体地図は、傾斜の急なところほどより赤く、尾根ほど明るく、谷ほど暗く表現された、ある種の疑似カラーオルソ画像である。地形図と重なる状態で、特殊な機器を使用することなく、1枚で自然な立体感が得られるため、レーザ計測DEMと赤色立体地図との組み合わせは、地形判読や現地調査に大きな変革をもたらした。■伊豆大島の地形伊豆大島についても、東京都(H18),国土地理院(H24),東京都(H25)の航空レーザ計測が行われている。また、そのうちH24の計測成果は基盤地図情報5mDEMとして、国土地理院から公開されている。ここでは、伊豆大島の赤色立体地図を示し、そこから読み取れる火山地形の特徴について述べる。伊豆大島は、中央部にカルデラがあり、その中央に三原山中央火口丘が位置する。三原山はサイズの割に火口が大きいタフコーンの地形を示すが、中央の縦穴火口の底が上下し、溶岩を溢流させる活動を繰り返している。最近では、1950-51年、1986年に噴火をしている。また、伊豆大島では、カルデラの外側にも噴火割れ目が多数分布し、1986年噴火でもC火口列を生じている。元町の東側の急斜面には元町溶岩を流出させたY5の割れ目火口があると推定されていたが、樹木に覆われ正確な位置ははっきりしていなかった。H18のレーザ計測による赤色立体地図では、Y5の割れ目火口が明確に浮き上がったものの、樹木が多く確認は困難であった。その後、2013年10月の台風災害によってできた崩壊の現地調査で、割れ目火口であることが確認できた。■表層崩壊斜面の地形の特徴2013年10月16日の台風により、伊豆大島の元町神達地区で大きな土砂災害が発生した。この災害のきっかけは斜面での火山灰の表層崩壊であったが、発生斜面にはY5の割れ目火口があり、そこから流れた元町溶岩流の上を表層崩壊による土砂が流下した。この溶岩流上の谷は極めて浅いため、土石流がのみこめず溢れ出し災害となった。ポスターではそのほか、微地形の特徴について述べる。